皆川博子 著
初期短編集
「トマト・ゲーム」 拝読。
まず、この装丁が素敵すぎる。
人形の写真、なんだよなー
小説のもつ妖しさにぴったり。
怖くて、美しくて、崇高な感じもする。
昨年あたりから
はまっている皆川氏ですが
彼女は40歳くらいで突如
小説を書き始めたという
異例の経歴の持ち主。
初期作品を集めた
「トマト・ゲーム」はじゅうぶんに
練れていて
つくづくすごい人だと、感心しつつ
興奮しつつ読みました。
空襲の業火に囚われ続けている
女性・・・
ミミズクとの世界に閉じこもる少女・・・
デス・マスクの謎にとらわれる男・・・
自分自身に
復讐しているかのような生き方・・・
こんな設定を考え付くだけで
すごいと思う物語ばかりですが
皆川氏の魅力はアイディアだけでは
ないのだよね。
某文学賞の候補作となった
「アルカディアの夏」もおさめられていますが
「アルカディアの夏」が受賞できないなら
選考委員を辞任する! と
作家の山口瞳氏は言って
強く推薦したとか。
ものがたり、としての
面白さにも満ちているけれど
言葉の織り成す、おそろしいまでに
完成された皆川氏の世界に
いつも飲み込まれそうになります。
自分の世界がこんなにも
示すことができるって
すごいよ・・・頭の中に秀逸な
思想があったとしても
言葉巧者でなければならないのだから。
(DJ KAZURU)
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