辻原登 著
「冬の旅」 拝読。
「おれにとって
最初の躓きはなんやったんやろ?」
人生躓くことってもちろんある。
無い人のほうが珍しいとは思うけれど
一生懸命、真面目に生きているのに
誰かの些細な悪意がきっかけで
最初の転落をする。また
誰かの些細な悪意でもうひとつ
下に落ちる。
そんなふうにして
ひとりの人間がどうにもならないところまで
落とされてしまうことってある。
人は犯罪者や
無職の人、貧困におちいっている人を
本人の努力が足りない、とか
言いがちだけれど
「うまくいっている人」の、本人は
気にも留めないような行為によって
足を引っ張られて、どん底まで
落ちたっていうこともままあるのでは。
そんな気にさせられる小説でした。
阪神大震災、宗教者による大規模な犯罪
現実の出来事を印象的に使いながら
人間がどうやって落ちていくのか
その心情はどうなのか
書評家としても名高い
辻原氏ならではの緻密な文章で語られます。
日本にも良い小説が
いっぱいあるね。
出会えてよかった! の一冊。
(DJ KAZURU)
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