小池真理子氏が
夫の藤田宜永氏をがんで亡くしてからの
思いを「月夜の森の梟」という
タイトルのエッセイにして
朝日新聞に毎週連載しています。

第一回は
訃報からほどなくしてだったので
ああ、辛い心情を書きたくなったのだな
深く愛してたんだな、という感想を
持ったにすぎないのですが
何週間たっても小池真理子は
藤田宜永氏のいなくなった穴を埋める
気配はなく、
この人哀しみで死んでしまうのでは？
と、心配するほどでした。

夫婦のいい思い出も
馬鹿馬鹿しいようないさかい話も
溢れ出すように語られ続け
今週ついに43回。

小池真理子といえば
作家のなかでダントツに
美貌のいい女、という印象ですが
結婚して30数年
よくまあここまで惚れたものです。

先日、文庫新刊で買った
小池真理子著「死の島」は
69才の元編集者ががんを患い
思うように動かなくなった肉体と
決別するために
「脱血死」で自殺することを
選ぶのですが、死の直前に知り合った
女性と深く心を通わせるストーリー。

ついに藤田宜永氏の死を
小説に昇華させたかと、読みまして
素敵な小説を堪能たのですが
解説を読んでびっくり。

これは藤田氏が末期の肺がんと分かる
直前に書き上げられ発表された
作品だそうです(考えてみれば
文庫書き下ろしでもない限り
文庫新刊が新作なわけないのでした)。

藤田氏の享年も69才。

こんなことあるのですね。

小池氏はなにか予感のような
ものがあり、この小説に
取り組んだのでしょうか。

彼女のとめどなく続く
夫への愛と感謝を綴ったエッセイ
もう一度第一回から
読み直してみたい気持ちです。

DJ KAZURU