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2023イヴェント休業中、各コラム更新中《TIMCUBA動画有》

18644 2023年現在timcubaのイヴェント休業中です。 コラムは随時更新していますので 各メニューを選択してくださいませ。 https://youtu.be/BELIZJu0ruM 2014年の過去動画ですが 六本木で思いきりダンスと音楽を味..

2/10 復活TIM★CUBA

17568 2/10 麻布トロピで久しぶりに ティンクーバやります。 DJ KAZURU が昔作った キレッキレのリミックス中心。 翌日が祝日なので ゆっくりお楽しみいただければ幸いです ************** La Tropi Azab..

2/1 イサックを語る

17586 下北沢ボデギータで 福田カズノブがイサックデルガードを語る マニア向けのイベントです キューバ料理もご注文いただけます ..

桐野夏生 著
「リアルワールド」拝読。

エリート高校に通う男子高校生が
母親を殺し逃走するのを
なぜか隣家の女子高生とその友人が
手伝うストーリー。

男子高校生は性欲が押さえられず
のぞき行為に及んだが母親に責められる。

おなべ志望の女子高生は
同性愛を自認しつつ
二丁目でも学校でも真実理解しあえる
友人に出会えない。

彼氏に浮気された女子高生は
恋愛に傷ついたので男に復讐したい。

などなど登場人物はどれも
ありふれた悩みを抱えてるだけのようで
事件は起きるものの、単純に
ストーリーは進みます。

が、母親の不倫に気付き
「自分も父も弟も、とうに
母親から捨てられていた」
と悟った女子高生「テラウチ」の
語りがはじまるあたりで
ぐっと深まってきます。

彼女の絶望はなかなか
いいところをとらえているのです。

信じられなくなった母親をそれでも
信じていこうとする。
そんな自分自身を信じられなくなって行く。
それは
虐待に似た構造だと思い至る。

これこそが母親殺しよりも
取り返しのつかないことなのだと
心のなかで毒づく。

母親を愛すがゆえに赦してしまう。
こんな母親でも赦さざるをえない
自分が大嫌いになる。

自分が死んだら母親は悲しむと
知りながらも
「母親はあたしよりもっと
大事な人間がいるから生きていける」
と友人にだけ打ち明けて自死する。

正直退屈だったストーリーが
彼女のエピソードでぐっと心に残る
ものとなりました。

自分の傷は人にはわからない
分からなくても良いのだけれど
若い娘をこんなにも追い詰める
親というものはどうなんでしょうね。

実際、仕事をしてる顔をして
家庭そっちのけで不倫してる
母親なんていっぱいいるんでしょう。

「テラウチ」の母親の心配は
不倫の露見だけ。
恋してる自分に夢中なだけで
娘の傷を感じる繊細さなどとうに
無くしている。

死ぬまで娘の死んだ意味など
気づけないでしょうし
「あんたのせい」で娘の友人が
死んだことも分からない。

この小説はけして
「母親殺しにまで追い詰められた
少年の物語」なんかではないのでした。

DJ KAZURU


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