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2023イヴェント休業中、各コラム更新中《TIMCUBA動画有》

18644 2023年現在timcubaのイヴェント休業中です。 コラムは随時更新していますので 各メニューを選択してくださいませ。 https://youtu.be/BELIZJu0ruM 2014年の過去動画ですが 六本木で思いきりダンスと音楽を味..

2/10 復活TIM★CUBA

17568 2/10 麻布トロピで久しぶりに ティンクーバやります。 DJ KAZURU が昔作った キレッキレのリミックス中心。 翌日が祝日なので ゆっくりお楽しみいただければ幸いです ************** La Tropi Azab..

2/1 イサックを語る

17586 下北沢ボデギータで 福田カズノブがイサックデルガードを語る マニア向けのイベントです キューバ料理もご注文いただけます ..

鯨神

「姫君を喰う話」にも収録されている
1961年の芥川賞受賞作が
宇能鴻一郎著「鯨神」。
映画にもなっているようです。

巨大な鯨に挑んでいく漁師の
物語ですが、「老人と海」のような
「海上で出くわした俺とお前の勝負」的な
男のファンタジー風味など
まったくありません。

化け物のように巨大な鯨は
主人公シャキの兄も父も祖父も
村の人々何十人もの命を
海に沈めた「叶わない敵」なのです。

明治初頭の平戸で行われる鯨漁。
漁を中心に生活は回っており
一家の長が殺された復讐を果たすのだと
年若い息子に言い聞かせるような
風習が芯にあるような暮らしですが、
一方
キリスト教が入ってきている土地でもあり
土着の信仰と入り交じった
不思議なところが異世界を感じさせます。

命よりも、兄、父、祖父を
鯨にとられてしまった敵討ちが
大事で、それで名声を得ようとか
金を稼ごうという気持ちは
シャキにはない。

余所者の荒くれに孕まされた少女が
産んだ子供の父親に名乗りをあげる
シャキの透明な心。
この辺りの展開も素敵です。

いくつも船を沈められ
いくつもの仲間の命を奪われ
自らも致命傷を負った果てに、遂に
ついた鯨との決着。

死を悟ったシャキは村に戻りつき
鯨の死骸と対峙して数日間を
横たわったまま過ごし、最後には
自分がこの巨大な鯨神そのものに
なってしまうのですが、その描写が
光に包まれていくような
美しさ。

シャキは死の渕では
自分のからだの痛みを感じ、闘いを振り返り
死んで痛みから解放されたのちは
鯨神となって、人間との闘いを
反芻します。

宇能鴻一郎はこんな美しい作品を
書いた人なのですね、どうして
官能小説家だと思い込んでいたのでしょう。

彼の書いた官能小説を読んだこともないのに!

DJ KAZURU


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