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2023イヴェント休業中、各コラム更新中《TIMCUBA動画有》

18644 2023年現在timcubaのイヴェント休業中です。 コラムは随時更新していますので 各メニューを選択してくださいませ。 https://youtu.be/BELIZJu0ruM 2014年の過去動画ですが 六本木で思いきりダンスと音楽を味..

2/10 復活TIM★CUBA

17568 2/10 麻布トロピで久しぶりに ティンクーバやります。 DJ KAZURU が昔作った キレッキレのリミックス中心。 翌日が祝日なので ゆっくりお楽しみいただければ幸いです ************** La Tropi Azab..

2/1 イサックを語る

17586 下北沢ボデギータで 福田カズノブがイサックデルガードを語る マニア向けのイベントです キューバ料理もご注文いただけます ..

墨絵牡丹

円地文子 著
墨絵牡丹、拝読。

昭和41年に発表された短編。

名人と言われた女形を父に持ち
踊りの稽古に精をだし、一時は
男役で人気を得ていた役者として
活躍し、奔放に生きてきた女も
70才を過ぎれば自分の死後のことを
考えるものでしょうか。

彼女のもとにだけ残された
長唄の古曲
「根元石橋」をようやく踊りの家元に
伝承する決意を固めるのです。

「うちの父が発表をやめてしまったので
元々お宅から出たものだからと言って、
節附けの勝次さんは一切を私の方へ戻して
曲をお残しなさらなかったの。
だからあの時分のことでレコードはなし、今
長唄で、これを弾いて唄えるのはまあ私
ひとりなんですよ」

今は孤独の身となった老女に
教えを乞うために、家元の一番の弟子が
通うことになるが、若い女の眼には
同性だからこそ感じられる
醜さ、みじめさをかぎとってしまう。

「ああ、女が年をとって、ひとりで
放胆に生きている姿とは、何と
得たいの知れない浅ましさ、むさくるしさに
汚されて見えるものだろう。
男と抱き合っても、男にない厭らしさが
必ずまつわるだろうし、酒に酔いしれても
男にないみじめさが身内から滲みだす。
女の生身とは所詮、粧い、飾り、
なにもかも嘘で塗りかためていなければ
美しく見えないものなのであろうか」

もう生き生きと咲き誇る
瑞々しい牡丹ではない、墨絵で描いた
牡丹のような女。

その美しさと哀れさを映し出す
円地文子の筆の素晴らしさに
心がふるえます。

短い小説ですが、けして男には
書けるわけがない文章が凝縮していて
今年は円地文子を読んでいこう、と
決意するくらいでした。

ところで、
せんだって「名取の形骸化」について
考えていたところですが、

「一体今の長次郎さん(延斎のこと)というのが
昔から、ひらめきのない子でね。
先代は、天才だって言われたあの弟の方が
早死にした時に、宮藤流もこれまでだって
踊を投げたもんさ。
何心配したもんじゃありゃしない。
今は全国で名取だけが何千とかいう
豪勢なお流儀じゃないか。
踊がいいんじゃないんだよ。
時勢がいい加減だということさ。
看板と人当たりさえよきゃ、芸なんざ、
素人で通る世の中なんだ」

という文章を作中に見つけまして
ああ
もう50年も前に藝を極めるなんてことは
伝統芸能の中でもとっくに
軽んじられはじめていたのだな、と
すっきりしたような気持ちにもなったのです。

DJ KAZURU


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