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2023イヴェント休業中、各コラム更新中《TIMCUBA動画有》

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2/10 復活TIM★CUBA

17568 2/10 麻布トロピで久しぶりに ティンクーバやります。 DJ KAZURU が昔作った キレッキレのリミックス中心。 翌日が祝日なので ゆっくりお楽しみいただければ幸いです ************** La Tropi Azab..

2/1 イサックを語る

17586 下北沢ボデギータで 福田カズノブがイサックデルガードを語る マニア向けのイベントです キューバ料理もご注文いただけます ..

つい70年くらい前のこと

宮尾登美子 著

「櫂」「春燈」「朱夏」 「仁淀川」 読了。

一応独立した長編ですが
自伝的4部作ともいわれ
連作として読めます。
土地の四季の描写も美しく、登場人物の
キャラクターもそれぞれに際立ち
もう大河ドラマにしても
いいんじゃないかというくらいの濃さ。
宮尾先生の体験が
そのまま描かれている部分も多いとのことで
そう思うと、よくぞ赤裸々に
書いてくださった! と感謝の気持ちに。

近年も実体験をさらけ出して
小説にしたという女流作家は大勢いますが
厳しくも冷静な目で、人生と時勢を
見つめ返しているこの作品群は
ちょっと比すべきものがありません。

芸妓娼妓紹介業の父と
女義太夫の花形の間に生まれた綾子。
土佐で羽振りのよい暮らしの中
なさぬ仲である
父の正妻に心から愛されて成長する。
昭和元年生まれであるゆえ
太平洋戦争が日本に暗い影を落とす頃
思春期に。

春燈

蝶よ花よで育てられた綾子は
家に出入りする使用人と自分の身分を
区別して考えることがぬけず
鷹揚とも横暴とも思われる
言動で学生時代を土佐で過ごす。
戦況悪化の中、農村で教師となる。

朱夏

同僚教師と18歳で結婚し子を産んだ綾子は
一家で満州へ。
すぐさま終戦となり、どん底の難民生活を
一年余おくる。
着の身着のまま、敗戦後の日本が
どうなっているかの情報もなく
何か月もの飢えの中で起きる
人間模様は凄惨。

仁淀川

命からがら日本に引き揚げてきたものの
農家の嫁としての生活は
綾子には負担が大きく、肺病に罹患。
満足に動けない日々の中
文章を書き記していくようになる。
比較的進歩的な考えの綾子が
思うように生きることができない辛さを
抱えるのに対して
お姑さんの「何事も人並みが一番」の
目立たず働き続ける生き方にも
切ないものが。

・・・

あまりにも濃密な作品につき
感じ入ることは沢山、沢山ですが
まずは、男女の差というものが
何よりも先に立ち、どちらの性別で
生まれるかにより
人生は大きく分けられていたということ。そして
貧富の差も男女の差に負けないくらい
あったということ。
それはほんの70年、60年くらい前まで
当たり前だったわけで
「つい最近までそんなだった日本」
を、忘れてはいかんと思うわけです(逆に
昭和30年くらいでも
遊学とか留学している
上流社会の女性もいたわけですが、それは
三島由紀夫の作品などで知ることができます)。

作品内容には直接関係ないことながら
日本はこんなにも生きる場所、属する社会により
人生が分けられていた、と知れば
今の世の中はそこそこ平等であり
ひどく有難いものなのではないかな。

(DJ KAZURU)


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