バレンタインなので
小石川サン・ポワンも
ショコラ菓子を出しています。
ガトー・ショコラも高貴な味だった。
・・・
幸田文 「流れる」 拝読。
本文中には明記されていないので
発表時期と内容からさぐるに
戦後間もなくから昭和30年あたりの
時代の話と察せられます。
ざっくりいえば
亭主子供を失った40女が
芸者置屋の女中として働くうちに
玄人の世界を見聞する、という話。
同じ女中ものでも
「ちいいさいおうち」なんかとは
天と地ほども違う世界観なので
日本も土地によって
色々だったのだなあと思います。
一事が万事
腹の探り合いによる会話で
人間関係が出来ていて
ずばりと言わなくても
察して答えていかなければ
使い物にならないといわれる世界。
言葉の遣り取りも
婉曲表現が基本であって、「裏の意味」を
読み取る鋭さがなければ
日々の生活にも困ってしまう。
くろうとの世界って
すごいものだなと。
女がひとりで働き
生き抜くってことの基本がこれだとしたら
相当おそろしい。。。けれど
それが美しさでもある。
厳然とした
ラインがあって、その世界の者として
見えざる常識、習慣を
崩さずに毎日が過ぎるということ。
芸と女の手管で世渡りをしている
「くろうと」の芸者衆たちは
何かにつけ
女中として入ってきた
「しろうと」の中年女と
ものの考え方に差をつけていくのですが
これは今の時代には
すっかり消えてなくなったことだと感じました。
いまは
しろうとさんが
平気な顔でくろうとの領域に
土足で入ってくる時代。
玄人の覚悟も何も
見栄なんてものを大事にしている人ほど
損をするような感じがします。
(DJ KAZURU)
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