世はめまぐるしく変わり
人が死に、殺され
それも本当に悲しむのは少しの人だけで
皆、いっときは騒いでも
後は
空の色さえ陽気です
という顔だ。
皆川博子 著
「蝶」拝読。
緊張感と衝撃にあれふた
短編集。
今回は国内外問わず
詩の引用が多くなされている
作品を集めているもののようです。
その詩の出典元に触れたことが
ないものも多くて、完全に
理解しきれなかったものも
多いですが、本筋を堪能することは
出来ました。
この作者は
ほんとうに多くの名文を咀嚼しており
その知識の深さに惚れます。
どの作品からも
青昏い中に
ぱあっと白みがかった金色の
光が差し込んでいるような
色彩を感じるのだよなあ・・・
エル・グレコの宗教画の様な。
なんということのない
描写の文章が色っぽかったり
文字の合間から色が見えてくる錯覚に
陥る瞬間がたまらない。
(DJ KAZURU)
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