吉原の幇間
桜川忠七の自伝。
幇間なんていっても
なんのことやらでしょうが
「たいこもち」と呼ばれる
お座敷を盛り上げる
男性の職業です。
空気をばっちりよめて
気配りができ、賢い人でなければ
務まらない仕事だと
知っていましたが
実際の仕事ぶり、生活を
この本で知って
ますます尊敬! って感じです。
実に貴重な
記録。
忠七さんは
幇間の気配りを以て
人に接することができるなら
サラリーマンは出世するし
たとえ専業主婦であっても
素晴らしい家庭をつくることができる
みたいに仰ってますが
そのとおり。
今では
古曲といわれるような
一中節、河東節
などの芸をきちんと
身に着けているひとも幇間には
多かったようです。
そもそも
吉原での遊びの度が過ぎて
身を持ち崩したなれのはて
で、幇間になった男が
ことのはじまりみたいなので
通人のきわみなのかも。
明治40年に幇間デビューして
昭和30年ころまで業界で
ならしたようですから
吉原の最盛期も見たし
末路も見た年代です。
人身売買があってはいいとは
思いませんが
吉原が栄えたということは
「宴」があったということなんですね。
現在は
手順を踏むことのない
世界ですから
酒はただ飲んで酔うための酒
女はただ抱くだけ。
だから芸者も幇間も
必要はない。
宴をひらくだけの
甲斐性のある男も少ないし・・・。
居酒屋とかで
上司の機嫌とるために
大声で恥ずかしげもなく
おべんちゃらかましているような
大人の男をみかけると
「この男芸者が」
と
心でつぶやくこともよくありますが
男芸者と
幇間はちがうからね。
やはり男芸者は
侮蔑的な言葉だと思う。
それに対して幇間は・・
ますます尊敬せずにはいられません。
(DJ KAZURU)
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