宮本輝 著
「道頓堀川」 拝読。
戦後から15年間くらいの間の
大阪ミナミの群像模様。
宮本輝氏の書く、戦後の大阪ものって
とてもいいのです、これも最高。
戎橋近く川のほとり
喫茶店のマスターは
元ビリヤードで稼いだわけありの男。
その
喫茶店に住み込みで働く苦学生。
芸妓あがりの小料理屋のおかみ。
戦争で片腕をなくした
賭博ビリヤードの元締め。
ゲイバーに集う人々に
ストリップダンサー・・・
これでもかというくらい
癖ある魅力的な登場人物が
心斎橋商店街、宗右衛門町
法善寺横丁あたりの
狭いエリアでひしめき合っている、その
なんとも匂い立つような
暗くて湿った路地裏の空気感が
小説の中に
漂っていてたまらないのです。
占い師に
「一家離散の相がある」
と、言われた男は
実際に妻子をその占い師に奪われる。
15年後
再び占い師の前に何食わぬ顔で
客として来て、またしても
「離散の相が」と
言われるシーン。
ぞくぞくきました。
何が正しかったわけでもなく
間違ったわけでもなく
人はこのようにしか生きられない、と
そんな局面があるのでしょうね。
少しは宮本輝氏の境地に近づいて
生きていきたいもんだ。
・・・
25日は六本木でイヴェントです。
timcubaの13周年という節目ですので
これまでの名曲集みたいな感じです。
(DJ KAZURU)
[…] 道頓堀川 […]
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