KAZU FUKUDA

KAZU FUKUDA
観葉音楽
Vol.13
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カウント・ダウン・DJ
2006年12月31日(日)

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Rhythms del Mundo
2006年12月29日(金)

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Los Ases de la Timba
2006年12月23日(土)

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Son de Madre
2006年12月21日(木)

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Raphael Sebbag featuring Telmary
2006年12月16日(土)

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AMARAY
2006年12月2日(土)

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Bamboleo ライブ
2006年11月17日(金)

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Tempo Forte
2006年10月14日(土)

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Alain Daniel y su New Casino
2006年10月12日(木)

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Manolito y su trabuco
2006年10月7日(土)

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観葉音楽 By KAZU FUKUDA

観葉音楽 By KAZU FUKUDA

▲INDEX  
 カウント・ダウン・DJ


今年の年越しは、
大阪でカウントダウン・ライブ・イベントのDJをします。
ティンクーバではなく呼ばれていることもあって、
キューバンとサルサ、半々を混合したラインナップ。
自分が踊りに行きたい選曲が出来上がりましたが、
やっている本人は踊れないのが、悔しいところ。
関西の人は初めて聴く選曲の数々でしょう。
東京でもティンクーバ以外ではないはず。
なにせ、ど・キューバンの TCC Fukuda がサルサをかけるのですから。
関西在住で気になる方はぜひ。

http://www.beronica.jp/event/list.php?year=2006&month=12#20061231

ところで、この年末、六本木のサルサ関係の店舗に大きな変動がありました。
特に、老舗ボデギータが閉店するのは大きな出来事です。
事実上、築地に統合されるわけですが、名前が消えてしまうので
日本のラテン音楽史というものがあるのであれば、
一つの時代の終わりを現しています。

ここの所全然行っていないけれど、無くなるのは残念、
ということを言う人がいますが、
残念ならばなぜ通わなかったと言いたいですね。
いくら老舗でも現役で営業している以上、
皆の評価や思いだけではやっていけないのです。

あたらしもの好きの消費者は、老舗はいつでもあるものだとして
出来立ての店や新しいイベントに通います。
そして、様々な歴史と経験を通過しなければ出来上がらない
重厚なものを失ってしまうのでしょう。

ティンクーバは、既に新人イベントではありませんが、
やっている内容は、常に新しく現役そのもの、です。

来年も皆さんに楽しんでもらえるよう全力で
ティンクーバを開催し続けますので、
どうぞよろしくお願いします。
お世話になりました皆さん、ありがとうございました。


2006/12/31 
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 Rhythms del Mundo


Rhythms del Mundo と言うアルバムが出ています。

イブライム・フェレールのラスト録音や
オマーラとのデュエット曲があるかと思えば、
イギリスのスティングや U2 がラテン・キューバ物を歌っているという
とんでもない企画物。



キューバ側からはその他に、
バンニア、ココ・フリーマン、そして Los Van Van のレレなどが参加。
新旧、有名無名の UK と CUBA のミュージシャンが集まって
1つのアルバムをつくっています。

良かったのは U2 とココ・フリーマンのコラボとバンニアのテイク。
UK のミュージシャンはラテン初挑戦といった感じなので、
聴き応えのあるナンバーは少ないですが、
彼らにとって異物であるキューバのサウンドを
真摯に解釈しようとしている姿勢には好感がもてます。

第二のブエナ・ビスタを排除しようとしている USA 側とは違って、
ヨーロッパはキューバ音楽を温かく見守っているようです。


2006/12/29 
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 Los Ases de la Timba


近年これほど CD の内容を期待した新人バンドはありません。
ボーカルが、ミッチェル・マサ、ティルソ、アンディ。
ディレクションがペドロ・パブロ。
初期から中期のチャランガ・アバネーラのメンバーが一同に揃った
まさにスーパー・バンドだからです。



ところが、1曲目から聴いてみて、うーんと唸ってしまいました。
ボーカルは、現在のティンバ界でも最高クラス、
ベースもホーン・セクションも悪くはありません。
では何が欠けているのか。

それは、良いメロディの曲と
楽曲と一体化したアレンジやバンド・グルーヴ、
そして新しいティンバを提示するという革新性などです。

エンビーディア企画の即席バンドなので期待するのが無駄といえばそれまでですが、
このメンバーならば、もう少しなんとかなっても良かったのではと思います。

今更ながら、ダビ・カルザードがどの位素晴らしい仕事をしていたのか、
再評価をせざるを得ないと感じます。



2006/12/23 
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 Son de Madre

Son de Madre というソンのバンドが USA 側からデビューしました。



出てくる音はティンバを通過してから
トラディショナルに戻った感じで、
ホーベネス・クラシコス・デル・ソンに感触が似ています。
ジャケット写真を見てみると
ダンス・パーティに出演している風情。
ソンにチャチャチャ、ティンバにサルサ、
何でも営業上演奏していますが
どの曲もバンド・カラーが出ていて好印象。

こんなバンドが出ているパーティならば
ぜひ踊りに行きたいものです。



2006/12/21 
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 Raphael Sebbag featuring Telmary

ラファエル・セバーグのソロ・アルバムに
キューバのテルマリーが参加しています。



クラブ・シーンでは、最も ( といってもかなり距離はありますが )
サルサ、キューバに近い存在のラファエル周辺。

一時代を築きその活動は落ち着いたかと見えましたが、
キューバ音楽界の新星テルマリーを得て、
また、話題になりそうです。

一方、テルマリーの側から見れば、
クラブ・サウンドに、彼女のポエット・ラップが十分通用することが分かり
目ウロコの状態でしょう。

これはまさに、音楽的相思相愛、ジャスト・フィット状態です。

ラファエルのソロなのに、テルマリーが主役になっているともいえるし、
ラファエルの世界がテルマリーを飲み込んだともいえるこの作品。

2006 年に日本録音で生まれた名コラボレーション作でしょう。



2006/12/16 
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 AMARAY

Manolito y su Trabuco のボーカリストであり、
重要なライターでもある Ricardo Amaray のソロ作が
リリースされました。
内容は全曲 POPS、ややアーバン・ソウルよりの音作りです。



作曲は全てアマライ自身が手がけ、
アレンジはトラブーコの同僚シンセの Miguel de Armas が担当、プロデュースは Manolito Simonet が行っています。

チャランガ・アバネーラにも素晴らしい曲を提供し続けているアマライ。近年の Manolito y su Trabuco の躍進は彼のモダンな曲調の作曲とボーカルによるところが大きいのですが、
トラブーコには第一カンタンテの El Indio がいることもあって
彼は必ずしも今の評価、立場に満足していないようです。

マノリート・シモネーは、
アマライが独立して自分のオルケスタを持つ可能性を消すために
El Indio に続いてソロ作をプロデュースし、さらにトラブーコの作品とバッティングしないよう POPS アルバムにして、ガス抜きをしているようにも感じます。

アーバン・ソウル系の POPS はアマライをはじめ若いキューバ人にはおしゃれに聴こえるのでしょう。ところが、欧米の音楽を聴いてきた耳にはまったく刺激的には聴こえません。

マンボラマの Bill Wolfer が 1980 年代に演奏していた音を、ビルと付き合いのあるマノリートの面々が追いかけているようにもみえます。

Ricardo Amaray の才能には大きな期待をかけているのですが、この作品は少し肩透かしでした。
今作の楽曲、半分でもサルサ・バージョンだったら、面白かったのにと思うのは私だけでしょうか。


2006/12/02 
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 Bamboleo ライブ

再来日したバンボレオの公演を見ました。

タニアのボーカルをこれでもかと強調した昨年より、
歌、演奏共にまとまっていて、
曲構成もバラエティに富み、会場を飽きさせない内容でした。

悪くはない、むしろ良かったのですが、以前経験した
キューバ・バンドのライブから受けた圧倒的な高揚感は、
残念ながら感じることは出来ませんでした。

会場の反応も様々。
2000 年以前からのキューバン・フリークはかなり欠席の様子で、
会場に足を運んだ面々は、
やはり以前のバンボレオと比較して物足りなさを感じている模様。
かぶりつきで盛り上がっているのは、ここ数年来のファン層。
そして、周囲には村上龍からいざなわれたキューバ音楽初体験組、
彼らは刺激的な音楽を前に興味の扉を開いた者と
どれも同じ音に聴こえ、
スタンディングに疲れてしまった人に分かれたようです。

2002 年以降、キューバの若者の好む音楽が
POPS やレゲトン、HIP HOP に変わってきた中で、
TIMBA 系のバンドはその方向性を見失っていましたが、
ようやくここに来て、
CD、ライブ共に原点回帰したものが目立ってきました。
喜んでいたのですが、
全盛期の頃にあった勢いと輝きが
同時に戻ってきたわけではないようです。

キューバ・バンドの公演を実現することはリスクを伴うので、
招聘元には今後も頑張ってもらいたいですが、そろそろ、
「 キューバのバンドはテクニックが凄い 」 ということを
売りにして紹介していく時代は過ぎたのだと感じます。

今までは、
クラーべの入ったわけのわからないリズムの音楽が、
クラシックやジャズのレベルで演奏されていることに
皆驚いていたのです。
それに関しての宣伝はもう充分で、
聴く耳のある人はどこかで一度は経験済みでしょう。

これからは、
「 魅力的で良い音楽かどうか 」
が問われていくのだと思います。

以前、国内向けだけだったキューバ音楽には
圧倒的な魅力がありましたが、
海外向けになったとたんに
良かったものが次々に失われているような気がしてなりません。

まあ、CD に関しては元気を取り戻しつつありますし、
海外脱出組のキューバ人ミュージシャンが
何かをしでかしてくれそうなので、
慌てず、じっくりと良い CD とライブを待っていたいと思います。


2006/11/17 
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 Tempo Forte

フランス発のキューバ音楽。
キューバ人とフランス人その他の混成バンドのようです。





この 「 Ya nos Veremos 」 は2作目。
Calle Real に通じるものがありますね。
NY ラテンでもない、キューバンそのものでもない音。
キューバ人ミュージシャン、サージェント・ガルシアがフランスで
創ってきた音楽をバンドとして継承している感じです。

日本にもルイス・バジェを筆頭に、元ユムリ組の兄ペドロ・バジェ、
渋谷ムチャーチヤ時代からのファン・カルロスをはじめ、
最近来日し日本在住となった
元バンボレオのドラマー、ルドゥウィグ・ヌニエスまで
在日キューバ人ミュージシャンも珍しくなくなってきました。

ところがルイスのラテンジャズ系ソロ・アルバムを除くと、
良質な歌物の CD は今だ登場するに至っていません。

それは、
マンボラマのリーダーのような人物が日本人にいないからなのか、
作曲・アレンジが出来る、
キューバ人ピアニストあるいはベーシストがきていないからなのか、
ただ単に資金関係の問題なのかわかりませんが、
各国から飛び出してくるキューバ人を含んだ混成バンドの作品を聴いていると、
バンド演奏や CD 製作で最も重要なのは、
共に演奏しているその国のミュージシャンが
キューバ音楽をどう解釈しているか、
ということなのではないかと感じます。


2006/10/14 
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 Alain Daniel y su New Casino

バンボレオのフロントを努めていたアライン・ダニエル、
待望のソロ・デビュー・アルバムです。






バンボレオから彼の脱退が決まったとき、
ハバナっこの間では
ラサロ・バルデスはアラインが抜けてかわいそう
という声があがった程の人気。
そのライブは
全盛期のマノリンに似ているという話も伝わっていました。

デビューCDを聴く限り、マノリンというよりも
Gardi と Issac をたして2で割った感じです。
サルサ・ロマンティカ寄りのキューバン・サルサですね。
ハスキーな声が特徴で、少し Danny Lozada にも似ています。

曲は全て自作。
メロディ・メーカーとしての才能も持ち得ています。
水準以上、期待の大型新人といってよいでしょう。

この曲調でゴリゴリな演奏ならばライブをぜひ観てみたいですね。

苦言1つ言わせてもらえば、
6曲目のベタなメレンゲはいりませんでした。
CD 全体の流れや雰囲気をぶち壊しています。
逆にハードな Timba がここに入れば、
好評価だったのに残念です。

サルサの本場、
NY から生きの良い POP Salsa がさっぱり出てこない昨今、
キューバ側から
逆に本家を意識した音作りの新人が出てきたことは
面白い現象です。

サルサとキューバ音楽はお隣同士の関係、
隣の芝生が青く見えることもあれば、
相手側がやらなくなったことを
逆に取り上げていくこともあるわけです。


2006/10/12 
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 Manolito y su trabuco


マノリートの6月に発売になった新作は
大ヒット・アルバムの後によくあるパターンで
続編的な内容でした。







新機軸部分は以外にもオーソドックスなSon。
アルセニオとアラゴンの曲を取り上げ、
ルーツ探求を思わせる展開です。

これまでのマノリートは1作ごとにソンのモダン化をはかって
快進撃を続けてきました。
各アルバムには素晴らしい作品が数曲入っていて
アルバムを出すたびに、歴代最高という状態が続いていました。

前作が売れすぎたのでしょう。
マノリートはようやく歴代最高という看板と
ソンのモダン化への取り組みを一段落させました。
1つのピークを迎えたマノリートは今後どうするのか。
今回のアルバムも悪くはないので
温かく見守りたいと思います。

ところで、7月に発表になった
プエルトリコのAndy Montanez のアルバムで
マノリート・イ・ス・トラブーコのナンバーが
2曲取り上げられています。
アレンジの担当は、なんとマノリート・シモネー本人。
殆ど原曲に近い仕上がりで
さながらマノリート・イ・ス・アンディ・モンタネス
という感じです。
曲とアレンジが同じ人だと
ほぼ同じ仕上がりになるものなのだという検証事例と
いってもよいかもしれません。


2006/10/07 
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▼観葉音楽 Vol.12

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