Bamboleo来日公演の感想 |
3年連続となるバンボレオの公演に行ってきました。
一言で表現するとミュージシャンの力量や魅力が出し切れていないという点でもったいないライブというのが感想。 キューバからバンドを連れて来て興行するという経済的なことを度外視して理想だけをいえば、3つのライブに分けるべきと感じました。
一つは、ソロ・アルバムが素晴らしかったラサロ・バルデスと同じく自身のソロを発表した元NGの重鎮ヘルマン・ベラスコのジョイント・ライブ。 着席のライブハウスで彼らのアフロ・キューバン・ジャズを聴いてみたかったですね。
そしてもう一つは、タニアとヘルマン・ベラスコのユニット。 タニアのソロ作は、アレンジが彼女のボーカルにマッチしている上に楽曲もツブぞろいでなかなかの好作品。 ラサロ抜きでヘルマンがサウンドを仕切ってボーカルはタニアのみで行えば、よいライブになったのではと感じます。
そして3つ目は、ダンス・フリーク対応のバンボレオのライブ。 今回のライブではっきりしたことは、熱唱型のタニアとジャジーなアレンジのラサロは相性が悪いということです。 来日メンバーはパチート・アロンソから移籍のリズム・セクションが引き締まっていてバンドとしてはなかなかだったので、 タニア抜きでティンバ・オンリーの演奏をガンガン行けば、最高だったでしょう。
その他隠れた収穫は、ゲスト参加のギター大萩康司。 キューバ音楽に真摯に向き合ったその演奏には拍手を送りたいと感じました。 不思議だったのは、ゲスト参加のもうひとり元マノリートのシンセ奏者。 数曲の演奏のために来日した理由がよくわかりません。
「全部見せれば素晴らしい」というコンセプトのため、 全て中途半端になってしまったように感じます。 この演奏が現在のキューバNO1ならば、キューバ音楽界はまだスランプを脱し切れていないといえるでしょう。
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2007/11/18 |
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世襲制 |
キューバのバンドはボーカリストやディレクトールの独立型など、 いろいろな形態でバンドが生まれ、その後活動を続けていきますが、 維持継続ということでは、最も有力な形態といえるのが世襲制です。
ざっとそれらのバンドをあげてみると、 オルケスタ・レべ、パチート・アロンソ、オルケスタ・アラゴン、 コンフント・チャポティーンなど。 ロス・バン・バンも 事実上世襲を決めているといえます。
何れのバンドも息が長くそのサウンドは普遍そのもの。 そのバンド特有のサウンドを伝えていくのには、 世襲が最適なのでしょう。 移り変わりが激しい世界の音楽界で、 キューバ音楽のこの流れはぜひ残してほしいものの1つです。
その世襲バンドの代表であるオルケスタ・レベの 50 周年記念盤は 父と子の時代を同時に網羅しているという点で珍しい企画ものです。
1 曲目は新曲、2〜6 曲目までは、近作からのピックアップ。 それ以降は御大エリオ・レベ時代の名曲の数々というライン・ナップ。 本当に 50 年一貫した音づくりで録音状態以外は 決して違和感のない1枚の CD になっています。
1960 年代には、チューチョ・バルデス、 そしてファン・フォルメル、プーピ・ペドロソが在籍し、 1980 年代後半には、ファン・カルロス・アルファンソ、 ユムリ、バレンティンを排出したレベ。
まさに、TIMBA 以前のコンテンポラリー・キューバンの父といえる バンドです。 息子の代になってからここ数年は勢いを取り戻りつつあり、 また、かつての栄光が復活する兆しもでてきています。
1曲目の新曲と記念盤ということでレベ・ファンは マスト・アイテムですね。
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2007/10/20 |
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Los Van Van @渋谷O-East |
連続3回目となる公演を見てきました。
メンバーは、昨年いなかったピアノのCucurucho が復帰していた反面、ファン・フォルメルが不在でした。 理由は、年末あたりに発表となる新作の準備ということなので心配はなさそうですが、ライブの出来に関しては、昨年、一昨年に比べるとカジュアルな感じの演奏で、今回が最高ということはありませんでした。
やっぱり、リーダーの力は絶大なのでしょう。 トラで入っているベーシストはもちろんVan Vanそのものの音を出していて問題はないのですが、ファン・フォルメルのそこからサウンドがまさに生まれ出ている感じがするプレイに対し、かなりの差がありました。
今のバンバンは、フォルメル不在のほうが多いと聞いているので、この演奏が普通なのかもしれませんが、私は幸運なことに 10 回近く見ている中、全てフォルメルがベースを弾いていたのでそう感じたのかもしれません。
見方を変えてみれば、フォルメル不在で各ミュージシャンの堅苦しさが抜け、オーディエンスも3回連続ということもあって気楽さが出ていて、単純にVan Van サウンドを浴びて楽しむということでは今回が一番よかったという感想もあってよいと感じました。
楽曲はというと基本的にいつも通り。 期待の新曲と初演奏のナンバーは4曲ほど。特にマジートが歌った最初から数えて 5 曲目のナンバーには痺れました。個人的にはあの曲が聴けたことが全てといえるライブでした。
この公演の後日、いくつかの場所でミニ・ライブを行ったようですが、個々の演奏能力を楽しむにはそういった小さな場所でしかも小編成で聴いたほうがベターでしょう。 なにせ本体Los Van Van の演奏は全ての音がひとかたまりになってくるので、1つ1つの音がよくわからないでしょうから。
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2007/10/06 |
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Los Van Van 再来日迫る! |
Los Van Van 3 年連続の来日公演が近づいてきました。 メンバーは同じ、アルバムも新作は「 Chapeando 」 以降出ていないので、ライブ自体大きな違いはないと思われますが、そこは Van Van、そのまま怒涛のバンド・サウンドを浴びていれば、至福の時間を送れることは間違いないでしょう。
新曲が数曲演奏されるかという期待もありますが、ここのところの ライブからすると、各ボーカリストの曲を考えた中で新曲をどうするかという傾向があります。
予想としては、ロベルトンがリード・ボーカルの曲が3、マジートが3、レレが2、ジェニーちゃんが1、全ボーカリストが次々に歌うナンバーが2の全 11 曲とみました。あの人のボーカルでは、あの曲か、あの曲という選択になるのでしょう。
ここで、もうバンバンのライブは見飽きちゃったという人に対していくつかアドバイスを。
Los Van Van は何と言ってもベースの Juan Formell がサウンド面でもバンド全体でも中心になっていますので、彼のプレイとバンドへの指揮は必見です。
そして、ピアノとシンセ。昨年は Boris Luna が 1 人で奮闘していましたが、今回 Cucurucho が来るのであれば、ピアノのモントゥーノとそこに絡むシンセの音の聞き分けが高度な楽しみ方。
パーカッションは何と言っても、Samuel Formell の圧倒的なドラミング、これは誰でも目が行くところでしょう。
バイオリンとトロンボーンは、楽曲の途中、どこから入ってくるのかそのタイミングが楽しみどころ。じっとミュージシャンを見ているとその瞬間が楽しめます。
フロントでは誰でもリード・ボーカルは注目するので、ここはコロにまわった人の歌とダンスやステップに注目を。
まあ、これらはあくまでも参考としてで、各人がそれぞれ自由に楽しむことが一番。
Los Van Van の凄さは、全ての音がひとかたまりになって、会場の空気を揺らし、オーディエンスの腰を揺らしてしまうところ。
珍しさが過ぎ去った連続来日 3 回目の今回が、ある意味では最もVan Van の凄さが実感できる機会なのかもしれません。
ちなみに、4 日築地キューバンカフェで、ピックアップ・メンバーで軽く演奏するようです。
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2007/10/01 |
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