KAZU FUKUDA

KAZU FUKUDA
観葉音楽
Vol.18
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フィデル・カストロとファン・フォルメル
2008年3月2日(日)

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ライナー・ノーツ
2008年2月20日(水)

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ハバナ新年ライブ
2008年2月16日(土)

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Los Van Van El Concierto
2008年2月11日(月)

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TIM☆CUBA Music of the Year 2007-4
2008年1月12日(土)

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TIM☆CUBA Music of the Year 2007-3
2008年1月4日(金)

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TIM☆CUBA Music of the Year 2007-2
2008年1月3日(木)

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TIM☆CUBA Music of the Year 2007-1
2008年1月2日(水)

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観葉音楽 By KAZU FUKUDA

観葉音楽 By KAZU FUKUDA

▲INDEX  
 フィデル・カストロとファン・フォルメル


フィデル・カストロとファン・フォルメル、2人共
多くのキューバ人から愛され、尊敬されている人物です。

カストロは体調の不良を心配されていましたが、先日
選挙後に議長職の引退を表明し、世界に波紋を投げかけています。
彼は、民族の自主独立を目指して革命を成し遂げ、その後
ずっと経済で苦しんできました。
盟友チェ・ゲバラは革命とともに生きることを決めてキューバを去り、
カストロは、経済のためにソ連と手を組み、そして崩壊と同時に
援助を斬られてしまいます。
彼は、民族独立と国の経済の自律との間で苦しみながらも
北米の言う「民主化」という甘い蜜を断り続けて今日まで来ました。

一方、ファン・フォルメルは、海外でも多くの評価を得ながらも
国内のキューバ人の支持を重視し続けているミュージシャンです。
最近のインタビューでは、国内の経済によって
ミュージシャンの多くが充分なギャラが得られていない状況を憂いている
という内容の発言をしました。
限られたトップ・バンドしかやっていけない現状は、
キューバ音楽全体の衰退を招いてしまうということも言っています。
ギャラや生活を重視して、保障もなく海外に飛び出していくミュージシャンが
必ずしも成功に結びついていない現状は、政治の状況と似ているものがあります。
2人には、キューバの政治・音楽のプライドを守りつつ、
そして経済的に潤っていくことは出来ないものかという悩みがあるのです。

対岸から眺めると、一気に北米化した場合、必ずしも良くならないという
予感があります。
それは、免疫のないキューバに投機中心の新資本主義が襲い掛かったら
キューバのプライドや良さはモノと引き換えに失われてしまうことを
感じているからです。


2008/03/02 
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 ライナー・ノーツ


Bamboleo の最新盤「 Todo Lo Bonito 」のライナーを書きました。
緊急発売ということで、原稿締め切りがタイトでしたが、
自分では満足のいく出来になったと思っています。

内容は、キューバ音楽の歴史からみた現在のティンバの状況について。
なんか、ちょっとした論文か雑誌の記事のような切り口になって
しまいましたが、後半は、
最新盤「 Todo Lo Bonito 」の聴き所がチェックできるよう
ライナーとしての役割は持たせました。

まだお持ちでない方がいましたら、ぜひアオラ・コーポレーションから
発売の日本盤をお求めになっては、と思います。

この作品は今は脱退しソロになってバンドを率いている
アライン・ダニエルのパートが半分を占めているところがポイント。
ティンバ・ファンならば必聴の1枚でしょう。

そして、イベントのお知らせも。


□ TIMCUBA http://www.timcuba.com/
■ 2008年2月23日(土) 20:30 - 24:00
□ 六本木 Salsa Copacabana (5785-3627) http://salsa-copacabana.com/
□ ¥2000 w1d

マジートとカルロス・マヌエルの幻の音源をGetしましたので
21:00-21:30か、23:30-あたりにかけたいと思っています。
乞うご期待を。



2008/02/20 
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 ハバナ新年ライブ

2008 年ハバナ新年ライブの一覧を入手しました。ティンバ系は11 会場。

2008.1.1
1.Los Van Van / Haira / NG La Banda
2.Manolito Simonet / Dennis
3.Charanga Habanera / Son Yoruba
4.Bamboleo / Combinacion Habana
5.Paulo F.G. / Azucar Negra / Reyes 73
6.Pupy / Sello L.A.
7.El Clan / Angeles de la Habana
8.Elito Reve / Dan Den / Isla Caribe
9.Sur Caribe / Explosion Latina
10. Pachito Alonso / Cole Cole
11. Maraca / Nelson Manuel
2008.1.2
13. Gardi
14. Adalberto Alvarez

どうやらこのライン・ナップの1順目は、実力・人気のランキングのような感じです。
1位はLos Van Van、Manolito SimonetそしてCharanga Habanera、Bamboleo、と続きます。ここに今回正月ライブを行っていないMaikel Blanco y Salsa Major が続くのでしょう。この5バンドが現在のハバナ・トップであろうと想像します。
そして、Paulo F.G.とAzucar Negra、PupyとSello L.A.、El ClanとAngeles de la Habanaと続きます。この3組はカップリングとしてなかなかお得なライブですね。
後は通好み、Elito Reve、Sur Caribe、Pachito Alonso、Maracaと続きます。
2 日は、GardiとAdalberto Alvarez。正月ライブに参加していなかったバンドで中堅どころはKlimax、Chispa、Charanga Forever、Alain Daniel、Kemell など。
このあたりから、今年はどんなバンドが素晴らしい作品を発表してくれるのでしょうか。


2008/02/16 
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 Los Van Van El Concierto

2006 年ハバナ、カール・マルクス劇場で行われたロス・バン・バン 40 周年記念コンサートのライブ DVD & CD を入手しました。
ちょうど、2005 から 2007 年の来日の最中に行われた記念すべきお宝映像が完全パックされています。





40 周年記念ということで、中盤からは 1960 年代から 1980 年代の懐かしいナンバーが目白押し。パンチョ・アマートに始まり、プーピ、ペドロ・カルボ、チャンギート、カントなどバンバンの OB 総出演です。1 つの時代を築いたロス・バン・バンの歴史をまさにコンサート形式で楽しむことができます。

この DVD の隠れた見所は 2 つ。ひとつは、観衆の映像。かわいいクバーナの踊りやおじいちゃんやおばあちゃんが楽しんでいるところなどが必見です。
そしてもうひとつは照明。気が付いている人もいるかと思いますが、日本で行われるライブではキューバ音楽のビートに照明がついていけないケースが多いのですが、キューバの照明スタッフはロス・バン・バンのビートと同調した照明を展開しています。

そして、マニアにはビデオ・クリップに新曲 「 Dale Dos 」 があるのがポイントでしょうか。今回の CD には残念ながら未収録ですが、次作の予告編といった感じです。


2008/02/11 
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 TIM☆CUBA Music of the Year 2007-4

〔 2007 年を振り返って 〕

2007 年のキューバ音楽はどうだったのかというと、
イサックの亡命と新作発表が最も衝撃的なトップニュース
だったのだと思います。
個人的にも CD を購入して聴くまでに久々の緊張感と興奮を覚えました。
結果から言えば、この亡命はイサックにとって吉と出た感じですが、この後キューバ国内や US 在住キューバ人ミュージシャンに与える影響は、今年 2008 年以降に出てくるとみています。

キューバ国内では、レゲトン・ブーム、ジューサに代表されるミクスチャー系のムーヴメントも一段落した感があり、サルサ・ティンバ回帰がゆっくり進行している感じです。

ところが CD では、エグレムの新レーベルからトラディショナル・ソンやキューバン・ジャズの新譜が大量にリリースされましたが、サルサ・ティンバ系の大物アーティストは、チャランガ・アバネーラとNGラ・バンダのみで、振るわなかったといえます。

バンドの状態、演奏のクオリティ、人気などを現地の情報から推察すると、バンボレオと Maikel Blanco y Salsa Major が最も勢いがあり、Los Van Van と Manolito を別格にすると、この2バンドがトップをとっていたようです。

一方、国外のキューバンは、イサックの亡命で地殻変動を起こし始めた模様。
ほぼ干されていた状態のマノリン、カルロス・マヌエル、ダニー・ロサーダにとって、在米組みの先輩であるティエンポ・リブレに追いつくチャンスが現れるかもしれません。

日本国内では、バンバンとバンボレオの再来日。元チャランガ・アバネーラのコンゲーロが在日にといったニュースがありましたが、いずれも何度目となる出来事で、冷静な見方が大勢を占めていました。

キューバだから全て良い、キューバ人だから最高といったステレオタイプなものの見方が昨年あたりで終わり、ダンスも音楽も質の高いものを求める傾向、また自分の好みをしっかり見据える傾向がでてきたのでしょう。

当方主催のイベント TIMCUBA は昨年から マンスリーに戻り安定した開催になりました。
音はキューバ国内のみならず国外のキューバン、さらにティンバ・テイストのあるもの、その他の音源もティンバの要素を MIX 加工することでトータルな音空間を創っています。

キューバ音楽だけのイベントでスタートしたティンクーバも、今やTIMCUBA 的な音を自ら構築して提供するといった、バンド的なものになってきたと理解してもらえるとありがたいです。

2008 年のキューバ音楽シーンはどうなるのか、皆さんと共に期待を持って見守って行きたいと思います。



2008/01/12 
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 TIM☆CUBA Music of the Year 2007-3

TCC: 第7位は PEDRO PABLO LA REBAMBARAMBA 「 Yo Soy La Noticia 」。




初期チャランガ・アバネーラ、チャランガ・フォレベル・マナーなバンドの 2 作目。なにかシーンを変えるような革新さや、強力なナンバーがあるわけではありませんが、常に水準以上の作品をリリースし続けています。

クーバ君: ミチェル・マサがボーカルで何曲か参加しているのが目玉。安心して聴けるティンバというのも変だけれどそんな感じのバンドですね。

TCC: エンビーディアを離れ、他のプロデューサーが付けば、見違えるかもしれないバンドと思います。




TCC: 第8位はGILITO 「 Al Cesar Lo Que Es Del Cesar 」。ストレートなティンバは今や US から出てくるという流れの一環。ティエンポ・リブレ効果なのでしょうか。在米ティンバのリリースは続いています。GILITO は久々の登場。全体にソフトな感じですが、ごちゃごちゃしたアレンジがない分、シンプルで聴きやすい作りです。

クーバ君: キューバンの独特なグルーヴやためがないので、こういった音はどうかなというのが感想。でもキューバ本国から生きの良いティンバ・バンドが出なくなりましたねえ。




TCC: 第9位は CARLOS MANUEL 「 Carlos Manuel 」。US 在住キューバンのエースの1人。ポップス路線の中にティンバが数曲。タイトルが本人名なので起死回生の一作なのでしょうが、この中に入っているポップスやレゲトンが良いとは思えません。逆にティンバは最高。マーケットの要求なのでしかたがないのかもしれませんが、もったいない限りです。

クーバ君: イサック効果がでれば、サルサ・ティンバが受けてくるんじゃないかな。それを期待。




TCC: 第 10 位は、DENIS & SWING 「 Son de Cristal 」。元クリマックスのトップ・カンタンテ。独立後、1 枚リリースしてから音沙汰がなかったのですが、突然の復活です。ソンをベースにしながら、クリマックス・マナーなアレンジが展開する不思議な味わいの作品に仕上がっています。こういう中堅バンドのリリースはシーンを活性化させます。

クーバ君: クリマックスの全盛期は凄かったときいてます。音は革新的なのにポップ、今どこにもないバンドだったんですね。

TCC: トップ 10 の発表はいかがでしたでしょうか。次回は総評です。



2008/01/04 
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 TIM☆CUBA Music of the Year 2007-2

TCC: ティンクーバ・ディスク大賞の発表、続きまして第3位はCHARANA HABANERA「El Rey de los Charangueros」。





クーバ君: ティンバ路線に戻っての2作目。安定した内容でファンとしては納得ですね。音は前作と同様だけど、フロントが最近またどんどん変わっていくので、そこが話題の的。

TCC: 数多くのフォロアー・バンドに対してチャランガの凄いところは、アルバムに必ず数曲、Aクラスの強力なティンバ・ナンバーが入っていることでしょう。他のバンドは、同じような楽曲が並んでいるだけという印象。そしてボーカル力はやっぱりダントツ。

クーバ君: 大物は、チャランガ・アバネーラのように年 1 作のリリースでお願いします。




TCC: 第4位は、JUAN KEMELL Y LA BARRIADA 「 Havananza 」。DVD と CD のカップリングなので新作扱いになりにくいですが、前作に続いて高水準な出来。最近のキューバ音楽界は、メロディアスなポップスとグルーヴだけのティンバに 2 極化していますが、ケーメルはその中間点。バランスが取れている数少ないバンドです。

クーバ君: バンバンのジェニーちゃんが前作に続いて 2 曲歌っているので、彼女のファンは要注目ですね。




TCC: 続いて第5位は、JOSE MIGUEL 「 Fiesta Pal Bailador 」。

クーバ君: TCC さんのお気に入りですね。ティンクーバでもよくかかっていてから。

TCC: 声が好きですね。新人賞にしたいところですが、彼のキャリアは意外に長く、イラケレのボーカルを経て、2000 年に JOSE MIGUEL Y SU BALANZA 名義で1枚リリースしているのです。エンビーディア・レーベルは演奏がどれも同じに聴こえるのでいただけないのですが、年に1枚くらい良いものを出します。昨年はこの作品があたりでした。次作も期待のアーティストです。




TCC: 第6位はコンテンポラリー・ソンの SUENA CUBANA 「 Mil Ragones 」。昨年はエグレムから大量にトラディショナル系のソンがリリースされましたが、やっぱり、サルサ・ティンバに近いのは、コンフント・ソン。ソンにサルサやティンバの要素を加えるのは今や流行ともいえる動きですが、このバンドはそれを上手く取り入れて自分たちのものにしています。

クーバ君: ホーベネスからエル・ネネが抜けてしまったので、このジャンルも若手のトップ・ランナー不在の状態ですね。TCC さんどうですか。

TCC: こういう伝統に根ざしたバンドは支持したいですね。まだ、重厚さや勢いはありませんが期待していきたいと思います。



2008/01/03 
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 TIM☆CUBA Music of the Year 2007-1

明けましておめでとうございます。
恒例となりました、ティンクーバ・ディスク大賞の発表です。
本企画は TCC FUKUDA が 2007 年に購入した新譜の中から、キューバ関係のもので出来のよかった作品をピックアップし、勝手に順位をつけたものです。
今回は特別ゲストにクーバ君に参加してもらいました。



TCC: それでは、まずは第1位。
これは迷い無く、ISSAC DELGADO 「 En Primera Plana 」 を挙げたいと思います。彼の作品の中では RMM と契約していた時代の音に近く、勢いがあって内容も充実した傑作といってよい出来でした。セールスも好調だったのか、ラテン・グラミーにもノミネートされ、US 内でライブも数多く行っていたようです。クーバ君の感想は?

クーバ君: イサックまさかの亡命は驚き。そしてセルヒオがプロデュース、ビクトル・マヌエルとの競演。うわーん、私のイサックが遠くに行ってしまった、と言う友人も大勢いましたよ。それにアレンジにキューバくささが感じられない。

TCC: アレンジはベースのアライン・ペレスが担っているので大きな心配はないでしょう。それより、イサックをきっかけにマイアミ在住亡命キューバ人の CD リリースが好転するならば大歓迎です。

クーバ君: サルサ界では自分たちのフィールドにイサックがやってきたと解釈しているのでしょうが、キューバ側としてはこれで本格的にティンバが世界に出て行けるとみています。最近は日本の非キューバ系 DJ もこぞってイサックをかけているようで、痛快。キューバ万歳ということで TCC さんのイサック第一位には文句ありません。




TCC: 続きまして第2位。
これは迷いましたが、バンボレオ周辺の活躍を代表して、TANIA PANTOJA 「 Di Que Piensas 」。バンボレオは来日もしましたし、2006 年リリースの好作品が昨年後半流通したり、ラサロ・バルデスのジャズ作も素晴らしかったりと話題を集めていましたが、その中で最も良かったのはタニアのソロ作でした。この作品のアレンジを手がけたヘルマン・べラスコは、ラサロ・バルデスのアレンジそのものを聴かせるスタイルとは異なり、あくまでも楽曲とボーカルを引き立たせるために力を注いだという仕事ぶりで、地味ながら聴けば聴くほど味わいがでる傑作に仕上げていました。

クーバ君: ライター陣が凄い。ラサロやヘルマンは勿論だけど、ピロートやアライン・ダニエル、リカルド・アマライ、そしてマノリートも楽曲を提供してるんだ。なんかバンボレオのタニアとは違った魅力が出てるね。



TCC: 2006 年リリースのバンボレオは、全体的に散漫な印象を受ける曲構成ながら強力なナンバーが幾つもある快作。当初はノミネートしていたのですが、2006 年リリースということで外しました。
参考まで、ジャケットは上に UP しました。

クーバ君: バンボレオは現在、キューバのトップ・オルケスタだということは間違いないかもね。周辺の勢いが凄い。


2008/01/02 
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▼観葉音楽 Vol.17

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