萩原朔太郎の「浅草公園の夜」
エレベータアは夢遊病者で満員です
に始まるアンソロジー。
皓星社の紙礫シリーズ8
「浅草」福島泰樹編
拝読。
1900年代から1930年代に
書かれたものがほとんどですね。
途中でぷっつり終わっている
江戸川乱歩の頓挫したものとか
不思議な作品も
いくつかありましたが···
浅草はあたらしい盛り場であり
風俗のるつぼという
様相であったと思われます。
外国からの観光客で
埋め尽くされている
現在とは別世界。
髪は濃く黒い
多すぎるほどの
廂髪に燃ゆる紅嬰粟の一輪挿し
荒い銘仙の羽織と
縞の小粋な着物に
女は花模様メリンスの
派手な帯を締めて
ちゃぶ台の側に座った
とか
朝掃除前に来ると
女供は紫繻子の半帯を無造作に結んで
店の仕事をしている
それから湯に往って後
白絽の丸帯などをキチンと
締めて盛装する
紫繻子の帯は男の眼には
婉な哀情を引くものである
「浅草の女」児玉花外
思えば自分は
こんな感じの描写文を
読みたいがために
着物の知識を増やしたのだよなあ。
女性の内面は得てして
服装にも表れることを
考えれば、外見を文章から
想像できなければ
どんな人物かを
読み解けはしないのです。
DJ KAZURU
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