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2/10 復活TIM★CUBA

17568 2/10 麻布トロピで久しぶりに ティンクーバやります。 DJ KAZURU が昔作った キレッキレのリミックス中心。 翌日が祝日なので ゆっくりお楽しみいただければ幸いです ************** La Tropi Azab..

2/1 イサックを語る

17586 下北沢ボデギータで 福田カズノブがイサックデルガードを語る マニア向けのイベントです キューバ料理もご注文いただけます ..

カウントダウン

17460 TIMCUBAカウントダウンありません が、12/31 麻布トロピにDJ KAZURU ちょっとだけ 遊びにいきます 21時から日付変わるあたりまでいる予定! ..

破船

吉村昭著
「破船」拝読。

どうしてこの素晴らしい小説を
今まで読んでこなかったのか···

いや
死ぬまでに読めて良かったです。

日本に暮らす多くの人は
貧困のなかにいた、それは
知っていても、うわべだけのこと。

こういう小説が教えてくれるのです。

具体的にどこの土地とは
書かれていないものの(作者の妻の郷里
福井辺りかなあ、という気もする)
海や山あいを豊かに表現しつつも
情に流されない風土の描写が
実にしっくり来ました。

全体にきりっとしていて
こういう文章はティーンエイジャーの
頃にこそ読むべきだったようにも
感じます。
主人公も少年ですし。

「破船」とは米やら醤油やらを積んだ
船が荒れた海に耐えられず
流されること。

海辺の村の人々は
数年に一度現れる「破船」を
うまく引き寄せて、乗船者を殺め
荷を略奪することで
生き延びているのです。

それがなければわずかな穀物と
海藻、魚で命を繋ぐのみ。
とんでもない赤貧状態です。

「破船」が長年来ないので
主人公の少年の一家は
父が肉体労働の身売りをしており
3年は戻りません。

父が出ていきすぐに末の妹が
病で死んだので、主人公は
怠けることを許さない働き者の母と
弟、妹の4人家族です。

村は17戸、15才になれば
好きな娘に求婚(夜這いという形の)が
できるのですが相手が一歳年上なので
それまでに彼女も同じく貧乏なので
女郎奉公に出されてしまうのでは
ないかと不安です。

船を出して魚もとります
(秋刀魚は手掴みで)
弟(6才)にも櫓の扱いを教えます。
死人を燃やす薪運びもするし
塩を炊く番もします。

港町から
父が戻るまで三年、だれも飢えて
死なないように母親もボロボロになって
必至に働いています。

主人公はいずれ自分も
身売り奉公に出されるであろう
未来を思いつつ、この小さな村以外で
暮らすことを恐れつつも
懸命に生きていきます。

そんな閉鎖空間に思いがけず
天然痘患者の死骸を乗せた船が
漂着したことで村は大量の
死者を出してしまいます。

主人公は罹患しなかったものの
父が戻るまでに、好いていた娘と
家族全員を失ってしまいます。

無知から村を壊滅状態にしてしまった
村人も、主人公も
絶望しかないわけですが、ここで私が
ハッとするのは、これ
主人公の少年が9才から12才になるまでの
話だったということです。

父親と母親も、村の常識にのっとって
15才16才で結婚したと考えるならば
物語の最後に、ようやく30才に
なったところと思われます。
びっくり。

時代は江戸後期かなと
推定しますが、幼いときから
労働ばかりで過ごし、それでも
家族を満足に養うことができずに
男も女も身を金に替えるしかない。
もちろん学びは実生活の知恵だけ。

この物語を読んでいると
主人公の不安もわずかな希望も
我がことのように、痛いほど
刺さってきます。

いま現在
小説のストーリーと同じく
疫病に襲われているので
この小説が注目されるということも
あるようですが、むしろ
最上質の小説として
忘れてはならない日本の物語として
読まれるべきでしょう。

カミュの「ペスト」然りですが
現実の処方箋を求めるような
読み方だけでは小説も本意では
ないというものです。

DJ KAZURU


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