橋本治 著
短編集「蝶のゆくえ」拝読。
2003年、2004年に書かれたもの
中心。
冒頭の
「フランダースの犬」は
このころから度々報道された
親による幼児虐待を扱っています。
加害者である親ではなく
被害者の子供の側から書きたいという
衝動があったと本人あとがきにありました。
このところ
山田詠美の「つみびと」とか
小説が幼児虐待の真相にせまっている
作品もちらほらありますが、小説だから
浮かび上がらせることができた
ってこともあるんだと思います。
共通するのは
親は無知であるが、プライドはある
生き物だということ。そして
なぜか子供というものは無条件に
親が大好きなのです、どんな
親であっても。
「フランダースの犬」は運び込まれた
病院の看護婦の手であるとも知らずに
「お母さんの暖かい手で撫でられた」
という気持ちの中で子供は死んでいきます。
子供は
お母さんが大好きな生き物。
それが悲しい。
ほかにも
女性のそれぞれの年代で
経験する悩みをテーマに
なるほどねえ、と膝を打つような
作品ばかりでした。
DJ KAZURU
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