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2/10 復活TIM★CUBA

17568 2/10 麻布トロピで久しぶりに ティンクーバやります。 DJ KAZURU が昔作った キレッキレのリミックス中心。 翌日が祝日なので ゆっくりお楽しみいただければ幸いです ************** La Tropi Azab..

2/1 イサックを語る

17586 下北沢ボデギータで 福田カズノブがイサックデルガードを語る マニア向けのイベントです キューバ料理もご注文いただけます ..

「田辺聖子十八才の日の記録」拝読。

先日読んだ文壇バーの
「聖子」と田辺聖子さんは同じ
昭和3年生まれですね。
一方は文学者に囲まれ
一方は自らが人気作家となったわけです。

田辺聖子さんが
戦時下に書いた18才の日記が出てきたのは
つい最近。

昭和20年の大阪の様子や
庶民の食料事情、何がいくらだった
などの資料として
貴重であると新聞などでも
取り上げられましたが、そんなことより
私が貴重に思ったのは
なんて瑞々しい感性が残された
日記だろうか、ということです。

当然のように軍国少女として
学問より奉仕活動に従事させられた
青春。

少女らしく純潔にこだわり
教養の無い人を憎み、そんな自分の
狭量さを反省することも。

意地悪な同級生との
交遊関係に悩むあたりは
なんら一般の女学生と
変わらないと見えますが、それでも
ヘッセを読んでその美しさに胸震わせたり
何かの時に長恨歌の一節が出てくるのは
やはり文学や芸術に敏感に生きてきたからだと
分かります。

感じ入った詩や小説の文章があったら
日記に抜き書きするなど、本当に
素晴らしい。

常に文才に自信は持っているものの
人生経験の浅さから少々頭でっかちな
自分も認めていて、そんな少女時代の
田辺聖子さん、いとおしくなります。

作文や、自作の小説を
友人に読ませては批評をねだるところなども
実に愛らしい。
そんなものを読まされた同級生は
あまりの豊かな表現力ですから、逆に
自分の才の無さに首うなだれた人も
多かったのではないかと
同情したくなります。

物もなく、教育もあまり受けられない
状況でも、本を読むことで少女が感性を
鍛えられることは間違いありません。

ところで、空襲で焼け落ちた
田辺家の住所は「大阪市上福島3」。

わたくしが大阪在住時に住んでた所とは
徒歩10分程度の近さ。

そのため
空襲の時、樟蔭女子のある
河内小阪から鶴橋までは電車で戻れたけど
そこからは徒歩で上六を通過し、さらに
自宅へ歩いた道のりの遠さ!
桜橋、出入橋、浄正橋を通過するその感じも
リアルに把握できました。

たとえ軍国主義の教育を
受けても、田辺聖子さんは自分の
頭と心をフル回転させて
政治を見つめています。

東条英機が自殺しそこなって
勾留された報道を見て

「とんだ死に恥をさらして
気の毒とも浅ましいともいいようがない。
歴史の正しい批判を待つと
遺言までしておきながら、どうして
短刀ででもやらなかったのであろうか。
杉山元帥は見事に拳銃で自決され
夫人もまた白装束で殉死された。これは
短刀で一突きとのこと、立派な最期であった」

と、書いてありますが
私も同じような感想を持ったでしょうね。

「美しき
一代の青春(はる)も返りこず
空しかりけり すべてささげて」

「げにさなり
首相の君に もの申す
粥一椀に つなぐ命と」

軍部、政府への疑問をもっては
一句したためておいた田辺聖子こそ
当時においては「未来への希望」そのもので
あったのではないかしら。

DJ KAZURU


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