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2/10 復活TIM★CUBA

17568 2/10 麻布トロピで久しぶりに ティンクーバやります。 DJ KAZURU が昔作った キレッキレのリミックス中心。 翌日が祝日なので ゆっくりお楽しみいただければ幸いです ************** La Tropi Azab..

2/1 イサックを語る

17586 下北沢ボデギータで 福田カズノブがイサックデルガードを語る マニア向けのイベントです キューバ料理もご注文いただけます ..

文芸批評のこれから

「少女を埋める」
桜庭一樹 著、拝読。

小説「少女を埋める」と
それの批評文に端を発した騒動について
書かれた「キメラ」、と
書き下ろしの「夏の終わり」が
収録されています。

その問題となった
文芸批評騒動については
こちらでまとめてるので
ご一読を。

ある文芸批評論争について

改めて「少女を埋める」を読むと
鴻巣氏が書いた

「弱弱介護の密室の中の出来事」
である
「主人公の母による病床の父への虐待」

などという描写はどこにもなく
何でこんな要約を書いたのだろうと
いう感じです。

仕事だし(ま、仕事だからこそ精読せねば
いけないのだけど)、さーっと
読んじゃったのかしら?
と、わたしは思いましたが
桜庭一樹は
今回に限らず、行間を
勝手に想像して読んでいる人なのでは
ないか、というような考察をしていて
なるほど、と思いました。

「掴みかかろうとする描写のあとに
乱暴してごめん、と書いてあったら
実際に暴力が行われたと読むのが妥当」

という鴻巣氏の意見は明らかにおかしく
普通に読んだら
掴みかかろうとしたことを謝罪した、と
読めますもんね。

これは「小説は自由な解釈でいい」とかいう
問題ではなく、明らかに
誤読の範疇でしょう。

それがたまたま「母の名誉」に関わる
部分だったのでこれだけ話が大きく
なったわけですが、作者の訴えに対して
いつまでも続く批評家の
的外れな返事、これでは
こじれますなあ。

さて、その騒動はともかく
本作品は田舎で暮らすことが
どんなことかを私に教えてくれました。

鳥取という土地に限らないのかもですが
田舎で生きていくと、こんなにも
「女の役割」を押し付けられ
意識せずにはいられないものなのかと
殆ど衝撃です。

死を前にした父の看取りの場で
母との微妙にすれ違っていく会話
田舎独特のマナー。
「女の子がりこうなのも考えもん」
など
興味深いエピソードが続きますが
「女」「娘」ということで
常に目の前にある差別というものが
とても印象的でした。

作者は自分がそうした差別を
受け入れてしまうことは、自分もまた
誰かを差別することになってしまう
その危うさに敏感なのだと思います。

繊細に物事を観る力が
作家にとって何より大事な資質だとしたら
桜庭一樹の歩みは間違っていないし
きっとこのあとも良い小説を
書いてくれるのではないかな?

彼女は他人の文章で
これは重要なことだ、と感じたとき
それが血肉となるように
何度も何度も読む、ことをしています。

書くことの重要さと共に
読むことの力を信じているのだと
感じました。

一番頼もしく思ったのは
桜庭氏は
丁寧に読んでくれた批評を喜び
その批評について、
こんなに丁寧に読んでくれたなら
批判されても良い、と
心底思ってること。

誉められたい、もてはやされたい
その欲望が先に立つ人なら、それは
表現者ではないし、作家としての
本来を見失ってるわけで・・・たとえ
内容を悪くとられても
きちんと読んでほしい、これは
作家としての当然の気持ちですよ。

・・・

この先五年後
十、二十年後の読者に
「少女を埋める」「キメラ」が
読まれるとき
「昔はこんなことで
苦しむ人たちがいたのか」と
驚かれるよう
変わらねばならないことがたくさんある。

「今と同じだな」と
言われるような未来がもし来たなら
それはこのようにして
2021年を生きた自分自身の責任だと。

・・・

DJ KAZURU


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