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2023イヴェント休業中、各コラム更新中《TIMCUBA動画有》

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2/10 復活TIM★CUBA

17568 2/10 麻布トロピで久しぶりに ティンクーバやります。 DJ KAZURU が昔作った キレッキレのリミックス中心。 翌日が祝日なので ゆっくりお楽しみいただければ幸いです ************** La Tropi Azab..

2/1 イサックを語る

17586 下北沢ボデギータで 福田カズノブがイサックデルガードを語る マニア向けのイベントです キューバ料理もご注文いただけます ..

編集者という人生

「伝説の編集者
坂本一亀とその時代」
田邉園子 著、拝読。

皆川博子の「彗星図書館」で
気になっていた一冊。というか
気になった編集者。

「文藝」編集長としては
数年の活躍であったけれど
野間宏、埴谷雄高、井上光晴
小田実、高橋和巳などなどを発掘し
三島由紀夫の「仮面の告白」を
担当したときけば「伝説の」という
枕詞が
けして誇張でないと分かります。
逆に、本当にそんなすごい人いたのかと
信じられない気持ちでした。

坂本一亀氏は
学徒動員で戦争に駆り出された
世代なので、軍隊の苦汁を舐めたのですが
戦後もずーっと軍隊口調だったそうです。
周囲はたまらなかったろうな。

長男の坂本龍一の証言からも
とにかく怖くて、家にほとんどいないし
いても話しかけることも
出来なかった父親だったということです。

まだ無名の、一冊も本を出していない
同人誌で書いているだけの作家の小説を
一生懸命読んで、これは、と思う作家を
育てたということは、先見の明があるとも
言えるけど、育てる力が大きかったようです。

逆に目をつけていた宇能鴻一郎が
芥川賞をとった途端にそっぽを向いたという
話も出てきます。誰かがすでに
評価した人には興味がなく
自分が発掘することが大事だったのでしょう。
それでここまで大勢の作家が実際に
育つというのも驚きですが。

ある部分を百回も書き直させるとか
そこまで執着出来るって
すごいですね。

この時代は、ワープロはおろか
コピー機もないので、書き直すということは
文字通り、ゼロから書き直すので
100枚の原稿でも
10回直せば1000枚書くことに
なるのですから直す方も
直された作家たちもとんでもない労力です。

そうやって野間宏の「真空地帯」も
大ヒットになったとか。

戦後は本に飢えてた人が
多い時代でもあり、いい文学作品も
多く出たんですけど、その影には
人生をかけて、いいものを出したいと
奮闘した編集者がいたわけですね。

文学賞を受賞した作品が
単行本になる過程で大きく
書き直させたことについては
埴谷雄高が「それは如何なものか」と
言ったらしくて、確かにアウトな
行為のような気もしますが、それだけ
作家と一体になってたのでしょう。

今の編集者がどれほどのものか
知りませんが、校正さんに丸投げしてるような
人もいるわけでしょ?

恥ずかしくないのかね。

編集者は、
サラリーマンであってはいけないというのが
坂本一亀の持論だったようですよ。

DJ KAZURU


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