「家族の樹
ミッドウェー海戦終章」
澤地久枝　著、拝読。

このところ澤地久枝の
ミッドウェー関連書籍を読んでいますが
彼女は日本の戦死者だけの
魂にせまっているわけではありません。

これは、あるイタリア系の
若者が米軍として
ミッドウェーで闘い、命を落とし
その息子もまた、ベトナム戦争で
戦死した一家について
取材したものが書かれています。

父が第二次世界大戦に
息子がベトナム戦争に参加した例は
珍しくないけれど
ともに戦死している例は他に
知らない、異様なことだと
澤地久枝も言っています。

若くして未亡人となった
妻たちの嘆きも取材され、澤地久枝の
ライフワークとでも言うべき
「戦死者一人ひとりの
顔に迫る」旅は続きます。

重苦しい旅に違いない
澤地久枝の仕事ですが、こうすることで
ようやく我々にも、敵味方なく
戦争に巻き込まれて若い命を失くした
人々の個々の思いが伝わってくると
感じます。

戦死者を数え上げる
数字ではない。

ひとつひとつの
人生には本当に色々なことがあり
誰かを愛し、愛された
取り替えの効かないものなのだと
教えられる大切な資料であり物語。

こうして徹底的な取材をする
澤地久枝のやり方は
政府の発表が隠蔽に満ちてることを
暴くきっかけにもなったので
細かく話を聞いていくことが
真実にたどり着ける方法なのだという
学びもあります。

DJ KAZURU