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2023イヴェント休業中、各コラム更新中《TIMCUBA動画有》

18644 2023年現在timcubaのイヴェント休業中です。 コラムは随時更新していますので 各メニューを選択してくださいませ。 https://youtu.be/BELIZJu0ruM 2014年の過去動画ですが 六本木で思いきりダンスと音楽を味..

2/10 復活TIM★CUBA

17568 2/10 麻布トロピで久しぶりに ティンクーバやります。 DJ KAZURU が昔作った キレッキレのリミックス中心。 翌日が祝日なので ゆっくりお楽しみいただければ幸いです ************** La Tropi Azab..

2/1 イサックを語る

17586 下北沢ボデギータで 福田カズノブがイサックデルガードを語る マニア向けのイベントです キューバ料理もご注文いただけます ..

現代を生きた歌舞伎役者

渡辺保 著
「吉右衛門
現代を生きた歌舞伎役者」拝読。

吉右衛門さんが亡くなって
思いの丈を込めて書いたであろう
保先生の新刊。

これまで見てきた舞台の数々が
保先生独特のメモから文章に起こされて
まるで目の前に芝居のワンシーンが
蘇るような感覚。

見たことある芝居でも
おお、そこが注目ポイントだったかと
気づきがあるので、本当に
素晴らしい観劇の先生です。

表紙で赤旗を翻している
吉右衛門演ずる袖萩の貞任。
この2001年の三段目のシーンは
私は国立劇場で見てはいませんが
涙が出そうになるほど
演技を言葉で表せるのが
保先生なのでした。

・・・

ここが冒頭で触れた
私の忘れられない瞬間である。

もう一度繰り返すと
赤旗を舞台端からポンと客席のほうへ流す。
一瞬にして赤旗は客席の頭上に翻って
一階の空間を生き物のように
大きく流れる。

それを手元に引き寄せると
吉右衛門は竹本の三味線に合わせて
背中へ囘して担ぐようにして
大きく見得をする。

その大きさ
その強さ、いいようがない。

まるで劇場の全空間をおのが掌中に
おさめるような勢いであった。

その時、私は
顔いっぱいに風が吹いてくるのを感じた。

東北の風。
あの雪国の、あの寒く山々に囲まれ
海に白浪のたつ東北の風が吹いてきた。

それは寒さであると同時に
差別された貧しい土地のものであった。

(中略)

この風は東北の風であると同時に
差別された者の恨みの
復讐の風でもあった。

(中略)

そこには異文化をどう認め
どう共存するか
という問題が隠されている。

あえていえば差別を乗り越えるためには
どうしたらいいのか
それは安倍一族にとって、圧政に対する
反乱であり、暴力による弾圧、あるいは
政略による融合、それだけではない。

その結果起きる悲劇の無惨さは
ここに見たとおりである。

吉右衛門の演じた安倍貞任は
古典劇の一人物であると同時に、現代の
人間の問題が隠されている。

・・・

DJ KAZURU


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