「夜間飛行」
北迫薫　著、拝読。

銀座の有名クラブ姫で
山口洋子の片腕となっていた
有名ホステス「光」の
生涯を、彼女の姪に当たる
作者が書いたもの。

山口洋子の著作や、他の
媒体でちょくちょく彼女のことが
語られていたので、違う部分も
知ってもらいたいという
親族ならではの気持ちで書いたそう。

が、著者は山口洋子と
話したことはないらしい。

読んでる間ずっと
なんか知ってるような話だなあ、と
思っていたのですが、他の
本で、最後の女給と言われた
このホステスのエピソードを
すでに読んでいたのかもしれません。

九州の大きな料亭の
娘に生まれたものの
若くしてチンピラと結婚、あっという間に
DV被害者となり、子供を生んだ途端に
出奔。

名古屋、大阪などを経て
銀座の姫のナンバーワンにまで
のしあがり、誰もが知る作家や俳優と
交際する姫に欠かせない
存在にまでなった、光。

夜の街で何もかも手に入れたような
彼女は、年下の男に入れあげ
こじれた果てに
30歳で自殺。

山口洋子の店では
ホステスの自殺というのは珍しくなく
親族の到着より早く、手際よく
彼女が片付けたという話に
嫌なリアリティがありました。

山口洋子は東映ニューフェースに
なったものの、自分が女優では
大成しないとすぐに悟り
当時ものすごい勢いだった
「おそめ」や「エスポワール」に
負けない店を作ろうと必死だったんですよね。

今じゃ信じられないけど
女性が稼げる職業も
少なかった時代なので、女性が
能力を発揮できる、というと
女優じゃないなら夜の世界、と
いうことにもなったのでしょう。

山口洋子の自伝も読んでみたいな。

光も
田舎の金持ちの娘なのだから
若いときの結婚相手が
まともな男だったなら
平凡に九州で長生きしたのでしょうかね。

こういう訳アリの女が
銀座を栄えさせていたというのは
確かに魅力的だけど
悲しいものですね。

DJ KAZURU