阿部和重　「ミステリアスセッティング」

この方の文章ってちょっと町田康氏にも通ずる
音楽的な感じが致しましす。

現代版マッチ売りの少女とかいう
コピー付きで出版された本のようですが
これでもかというほど、やること成すことが
裏目裏目の１０代女性の物語でした。

メールでの遣り取りが頻出しますが
此処でのように、同じツールを用いて
同じテーマで文章を交わしているように見えても
こっちは真剣でリアルそのもの
相手はゲームを前提に
やっている。そしてどうしようもない
落とし穴に落ちてしまう、ということは
いかにもありがちで、他人ごとではない感じです。

私自身は現実で付き合っている方としか
メールのやり取りは致しませんし、こうして
日々更新してゆくブログ文章も現実に
クラブでDJブース越しにではあっても
お目にかかっている皆様に向けて
発信しているわけですけれども、しかし
そういっている正にこの現状が、実は
何から何まで嘘ですよ、こんな小説だって
別に読んでいません、感想は誰かの借りものです
という
ウラがあっても構いませんよ、ってシステムなのですから
こればかりは如何ともし難く。

(DJ KAZURU)