寒椿 宮尾登美子著
高知、昭和の初め
芸妓として売られた女性4人の
人生を描いた見事すぎる連作短編集。
日本には確かにこういう女の人生が
あったのだよなあ、と思わせる描写の
数々に吸い込まれてしまいました。
貧しさゆえに娘を売ることが
生活の選択肢のひとつだった時代の
地方に生まれ、寒さに耐えながら咲く
椿のように生き抜く女性たち。
売られてもなお、親の情に縋る心が
強かったりと、もちろん彼女たちの生活は
悲惨ではありますが、女ゆえの
心の機微っていうの? が繊細に
表現されていて、どこをとっても
泣きたくなるくらい「女」の小説です。
此処にある
愛情も憎悪も
嫉妬も矜持も匂い立つよう。
(DJ KAZURU)
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