震災後
多くの作家や書評家が
今読むべき作品として村上春樹氏の
「神の子どもたちはみな踊る」を挙げております。
村上氏が阪神の震災後に書いた作品ですが
直接的な被害を受けた
人々のことではなく、「その周辺」で
一見、何の関係もないようでいて
「変わってしまった」人たちの
実に不可思議な物語で、まさにいま東京にいる
私には響く作品でありました。
あの日から、表現者たちが
影響されたのは無理からぬことで
たとえば私の購読新聞では
朝の連載小説でも
大震災が起こった、という挿話が織り込まれましたし
日曜版の連載小説においても
被災地でボランティアにいそしむ人が
主要な登場人物となりました。
一方
西村賢太氏のように
「だからって自分の小説に
取り入れるようなことはしない。
小説家ってそういうもんでしょ」
という発言には素直に爽快感を得るのですが
こうした経験が小説になるとするなら
村上氏のやり方以上のものは
当面ないように感じます。
単純に秀逸な短編として
読むことも、もちろん可能。
≪ぼくらは誰もが限りのある存在ですし
結局は破れ去ります。でも
アーネスト・ヘミングウェイが看破したように
僕らの人生は勝ち方によってではなく、その
破れ去り方によって
最終的な価値を定められるのです≫
≪僕らの心は石ではないのです。
石はいつか崩れ落ちるかもしれない。
姿かたちを失うかもしれない。
でも心は崩れません。
僕らはそのかたちなきものを、
善きものであれ、悪しきものであれ
どこまでも伝えあうことが出来るのです。
神の子どもたちはみな踊るのです。≫
・・・
5月28日(土) 20時半より
DJイヴェント開催致します。
6月はこの11年間のティンクーバ
総集編をやりますので、通常の
イヴェントは当面ありません。
ぜひ、今週は遊びにいらしてくださいませ。
(DJ KAZURU)
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