村上春樹氏による
オウム真理教元信者への
インタビュー集
「約束された場所で」。
1998年のものなので
今もそれぞれ同じ考えかどうかは
わからないけれど
興味深く拝読しました。
入信に至る道はみんな
それぞれって感じですが、そもそも
人生に疑問を抱き、思索を重ねたうえで
行きつくところがオウムという宗教だった
人が多いわけだから
「毎日テキトーに楽しく生きれればいい」
とか
「他の人はどうでも
自分だけそこそこ幸せならいい」
とかいうタイプの
軽やかな人生観のひとっていないのですよね
しかも
真面目で
一度決めたことを貫く力を持っている。
そんな彼らの、一見
論理的な世界観が、村上氏の
鋭い突っ込みにより
ガタッとなるところがいっぱいあって
この人たちも若い頃
村上氏のように、対話につきあってくれる人がいたなら
救いを求める心が
違う方に向ったのだろうな・・・と
思いましたが、疑問であふれている
未熟な若者を導ける人っていうのを
見つけるのがこれまた大変なことなのでしょう。
入信して充実感を得ていた
元信者の殆どが、いつからか
「なんかおかしいな」 と
思いつつ、犯罪に走る師のもとを
去れなかった。
そのあたりの
話を読んでいると、
付き合っている男に
殴られても金を奪われても
「でも彼はあの時あんなに
愛してくれたんだから。あたしは
彼と出会えて幸せだったんだから」
と、一度は捧げた操に殉じている
女性の心持ちと
一緒の様な気がしましたね。
情が深く盲信的。
元信者の中に
共感できる人というのは
やはりいなかったのですが
ある男性が
十代の時に、テレビドラマ
「金曜日の妻たちへ」を見て
大人になってもまったく成長できてないじゃないか
こんな人生なら人間ダメダメじゃないか、と
将来に絶望した、みたいなことを語っていて
それはちょっとわかりました。
中年になって、結婚しても
子供がいても
惚れたーの、腫れたーのが中心の
毎日ですからね、しかも
ご近所内で(笑)。
(DJ KAZURU)
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