第150回芥川賞の
「穴」 小山田浩子 著
拝読しました。
日常がふっと歪んで
異界の者と交わるような話ですが
完全なファンタジーではなくて
基本的に
現実を
淡々と描写していく部分が
むしろ良かったです。
少なくとも
前回の受賞作より
ずっと好き。
冒頭
非正規雇用で働く
女性社員同士が
正社員でないがゆえの
待遇の差について
延々と
語り合う場面が描写されます。
あ、こういうのって
1980年前後の生まれの作家さんが
よく書くタイプのシーンだな、と
思いました。
雇用問題は
実際の社会問題ですので
小説で描かれていても当然なのですが
どうしてもこういう話を読むと
どっと疲れる・・・まあ
あまり本編に関係ない部分ですけど。
それより
携帯電話をいじくりまわし続ける
主人公の夫の白痴ぶりのほうが
よっぽどイラッとくるわけですけど。
・・・
今回150回という
節目の回なので
それなりに大きい企画でした。
過去のそれなりに膨大な
受賞作品の中から
ベスト3を選んでもらう、など
興味深い記事がいっぱい。
過去の受賞者、過去の
選者が
今だから話せる裏話を
どっと放出しているのには
興味津々で
これを読めば
受賞作品のことなど
忘れてしまいそうな面白さ。
選考委員として
私はこれだけはしないようにと
臨んでいます、という
その「これだけは」のことを
まさにやってしまっている
他の選考委員もいるわけで
暗に彼(彼女)の批判を
したかったのだろうなあ、と
思うしかない発言の人とかも
見受けられました。
石原慎太郎さんは
途中で日和だす選考委員も
いる、とか
ノーベル賞とったからって
大江健三郎の発言に
屈するな! みたいな
ことを言ってますが
権威を持ち込むな、というのは
正論ですね(わたくしは
大江先生好きだけど)。
(DJ KAZURU)
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