渡辺淳一 著 「くれなゐ」
拝読。
文庫新刊だったので
最近の作品かと思って買ったけど
1979年の初出でした。
医師でもある著者ならではの
医療への懐疑や
女性の身体への考察が
随所に出てきて、まさに「渡辺淳一節」!
28歳帽子デザイナーの
主人公は
妻子持ちの40代の男と
不倫関係でありますが
ことあるごとに
「もうおばあちゃんだもの」
や
「若くはない」
を、さらりと発言していて
時代を感じます。
遊び慣れた中年建築家を
待つレストランで
彼女が
「ジュース」を飲んで待っていたり
男のオーダーするワインが
「ボジョレー」だったりする・・・
これが80年代以前の
デートなんだな!
恋愛はその時代の
風俗を映すものなのだな、と
思うとともに
2010年代の
我々は、際限なく恋愛できる
精神を手に入れているような
感じさえあることが
不思議。
いつまでも恋愛体質で
いられるのは
素敵なことですが、ある種
煩悩を抱える期間が
延びたともいえる、きょうこのごろであります。
(DJ KAZURU)
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