
「ゆきゆきて、神軍」
以前から見ておきたいと
思っていたドキュメンタリーです。
ドキュメンタリーの主役である
初老の男、奥崎謙三が
天皇や田中角栄を頂点とする
日本の体制に不満があることは分かるのだが
なぜ、天皇誕生日にデモをし
パチンコ襲撃したりしてるのか
冒頭では判然としない。
行動は滑稽なかんじもあるし
一方、彼には賛同者も多い模様。
この奥崎謙三が
ニューギニアで死んだ仲間の
母親を訪ねるカット。
戦後30年以上過ぎてるから
母親も老いています。
穴を掘って青いパパイヤを供え
水筒の水をかけた。そんなふうに
丁寧に葬られたのは
あなた息子だけで他の人はみんな
穴に投げ入れられただけで…と
涙がこみ上げてきてしまった奥崎。
これを見れば彼が日本が愚かな
戦争を続けたために失われた
若い命のために怒りが止まらないのだと
分かります。
墓前で「岸壁の母」を歌う老いた
仲間の母親に優しく寄り添う奥崎謙三。
彼が建てる仲間の墓標には
御霊ではなく怨霊と書かれている。
仲間が死んでいったのに
天皇も政府ものうのうと息をしてることへの
憤りなのでしょう。

私はやはり怒るべきところで
怒る人間には共感する。
部隊内で上官に処刑された
仲間は、なぜ殺されたのか。
解明のため全国を奔走する。
奥崎謙三はこれを慰霊の旅と言う。
彼の怒りの芽は山のようにある。
口に出せないようなことが戦地ではあったから
なにもいいたくないという上官たちに
真実の出来事を伝えるのが供養であり
戦争を再び始めないためでもあるという奥崎。
先日観た「黒川の女たち」と
全く同じ構造なんです。
あんな悲惨なことがなぜ起きたのか
検証なくしては戦争の反省にならないのに
口をつぐみたがる人が多すぎる。
人に命をなくしておいて
責任を取らない人間が許せない。
やり方は奇妙でも
その怒りには理があると
私も思うのです。
それにしても人肉を食べたとか
大岡昇平の「野火」の世界ですね。
原住民の肉は通称黒豚。
オーストリア部隊の兵士の肉は白豚。
人肉食いの点では証言がぶれません。
原一男監督は、戦後30年以上
社会に溶け込んでる元兵士と
天皇制に抗議を続ける奥崎謙三との
対比をこの映画でしたかったということで
映画の上に音声で解説をつける形で
もうひとつの「ゆきゆきて、神軍」を
完成させており、私の買った
ブルーレイにはどちらも収められてました。
こちらもまた興味深い。
生き方の違い、考え方の違い。
口を閉ざす側も、戦後
身を粉にして家族を養うために働いてきたわけで
けしてのうのうと今生きているわけではない。
どちらが正しい生き方ということではなくて
その対話を撮ることが大事だったと
監督は言います。
ところで
奥崎謙三の右手の小指が無いのは
ニューギニアで食料を漁るために
押し入った民家で矢で射られたことが
原因だそうです。
戦争に行かされた人たちは
多かれ少なかれそういう経験をしている。
大岡昇平いわく
「戦争を経験していないものは
半分子どもである」
の所以です。
DJ KAZURU
ミュージシャン、DJ・ダンサー、レコード会社、キューバ旅行会社からの目線で、ティンバの歴史とその魅力を明らかにする待望のトークライブ・シリーズがスタート!以前、チェベレの相川等さんと行っていた「トーク・ティンクーバ」の発展系ですが、単発ではなく毎月開催とし、様々な視点でティンバの魅力を明ら..
2025年現在timcubaのイヴェント休業中です。
コラムは随時更新していますので
各メニューを選択してくださいませ。
https://youtu.be/BELIZJu0ruM
2014年の過去動画ですが
六本木で思いきりダンスと音楽を味..
2/10 麻布トロピで久しぶりに
ティンクーバやります。
DJ KAZURU が昔作った
キレッキレのリミックス中心。
翌日が祝日なので
ゆっくりお楽しみいただければ幸いです
**************
La Tropi Azab..
Add A Comment