浜木綿子自伝
「楽しく波爛万丈」
小玉祥子聞き書き、拝読。

宝塚時代のことから
部屋中に浜木綿子のポスターを
貼ってたという猿之助からの求婚。

デキ婚で子供に恵まれるも
あっという間に女の影が漂い離婚。

引き立ててくれてた菊田一夫からも
「結婚したら女は魅力が半減
いい役は来ない」と言われる中
脇役でも存在感を残し、やがて
彼女が主役の舞台も務めるようになり
人気は長く続いた…いやあ
知らない話がいっぱいで面白かったです。

今や中車の母、團子の祖母として
名の上がることが多いですが、そもそも
現白鸚、十七代勘三郎など
歌舞伎役者との共演が多かった人なんですね。

長く共演したのは
左とん平、のちには加藤茶。

宮尾登美子原作の舞台にも、すごく
いっぱい出演していて、観たかった
と思いました。
ちっとも知らなかったのですが
「陽暉楼」の
主役を桃若のライバル胡遊にして
舞台化したもので主演してるそうです。

乙羽信子など宝塚の先輩は
何年経っても上下関係が
続いてるなんていうのは本当なんでしょうが
やはり独特の魅力で周囲の人や
評論家たちも味方につけて
舞台に立ってきた息の長い
女優という感じがします。

本当はスカーレットを演じたかったけど
「風と共に去りぬ」でベル・ワトリングを
演じることになり、かえって評判が
高まったというのも、芝居の工夫を
色々考えたからでしょうね。

中車の歌舞伎入りの時の
顛末と、猿之助との40年ぶりの
再会のエピソードも書かれていましたが
浜木綿子としてはもう会いたくない人
だった感じ？
猿之助が倒れてからの再会だったわけで
病で身体も満足に動かない元夫に
中車の采配で無理やり引き合わされ
挨拶はしたけど、浜木綿子にしてみれば
自分はまだまだ元気で美貌も保ってる。

孫の未来のために役立ってくれという
位のことは思うでしょうが、別に
自分のもとでも息子も孫も
立派にやっていけるんだし…そんな
ところでしょうか。

父親に拒絶されて
ガックリしてた香川照之に
優しい言葉をかけてくれたのは
段四郎さんだったとか。その
段四郎も息子との心中で
命を落とし、渦中の人となった
四代目猿之助が
事実上引退しているなか、将来的に
澤瀉屋のトップにたつのは浜木綿子の
孫である團子しか考えられない状況。

不思議なものですね。

DJ KAZURU