
劇評家、渡辺保先生の訃報がながれたとき
2008年12月8日
「追悼 加藤周一 (渡辺保)」(毎日新聞)
をSNSで出した方がいて、加藤周一に
そんなにも影響受けていたのかと驚き
慌ててかき集めている次第。
実際読んでみるともろに
影響がわかるところがすぐにみつかり
偉大な劇評家にも文体の師がいたのだなあ、と
不思議な気持ちです。
1990年前後の講演集をまずは。
〈ヨーロッパの哲学は
ヘーゲルとキェルケゴール。
ヘーゲルは歴史の流れのなかで
人生ん君を考える。
キェルケゴールはひとりひとりの限られた
死に至る条件の下でどう生きるかを追求する。
マーラーはヘーゲル的
サドはキェルケゴール的。
ここに現代の人間のあり方や
現代そのものの構造がよく現れている〉
という感じで解りやすく西欧の文化と
日本の差を示してくれています。
日本文学について
〈川端康成の小説は、そのほとんどが
感情生活に係り、いくらか感覚的な面にも
わたっている。
窓にうつった陽とか、芸者の手に
ふれたときのぬくみとか、細かい感覚です。
感情生活と繊細な感覚が表現の内容で
そういうものが我々に訴える。しかし
知的には訴えない。
川端康成の小説全体を読んでも、知的な
挑戦はない。洒落もなければ新しい観念もない。
川端の小説はその意味で日本文学を
代表していると思います〉
これも納得。
そこを逸脱したのが大江健三郎というのも
そのとおりですね。意識的に
小説を書いていたはず。
加藤周一はフランス文学が
高度に抽象的に知的な興味に訴えるものであるのと
比較して、また中国の唐宋の詩集には
政治問題も戦争も哲学的問題も出るのに
日本は古今集からずーっとひとつもなく
常にその場の感情の非常に細かい動きが
実に美しく表現されている、と言っており
なるほどそこが自分が日本文学を
愛する理由かな、と。
文体についてのなかでは
あまりにも重要な話がおおく
再度まとめたいけれど、
中野重治の考察を引いて
〈日本では評論家の書くものでさえ
曖昧なことがある〉
ということに言及。
大岡昇平も評価されており
レイテ戦記は
〈事実を淡々と語っているように見えて
そこに人間が浮かんでくるという種類の
文学の傑作〉
と言っていますが、宇野千代の
「人形師天狗屋久吉」も意識的に
そこを狙ったものだと私は思っています。
ちょっとまとめきれず
備忘録になってしまったな、またいずれ
整理しよう。
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