Klimax「Un Juego de Manos」

ポピュラー音楽のジャンルは様々ありますが、
そのピークは10年くらいで、
革新的なアーティストが出現しないと
スタイルだけが残り勢いは失われていくものです。
キューバで生まれた新たなジャンルTimbaは、
1998年あたりにそのスタイルを確立しましたが、
2005年あたりにはやはり失速していく状況にありました。
その中で進化を続けていたバンドは今回紹介するKlimaxです。

リーダーのGiraldo Pilotoは、「これから聴くティンバ」の
第１回で紹介したNG la Bandaのドラマー。
複雑なティンバ・ドラミングを追求するだけでなく、
メロディ・メーカーとしても才能を発揮し、
キューバではミュージシャンズ・ミュージシャンとして
高く評価されてきた存在です。

ベネズエラのNO.1バンドのグアコは、
Klimaxに影響を受けたと公言しているほど。
あまりの演奏力にダンス系のファンには
必ずしも人気があるとは言えませんが、
ラテン・ジャズ、サルサ、ソンなど様々な音楽を飲み込み、
圧倒的なアンサンブルに昇華した演奏は、
ティンバというキューバの音楽ジャンルが、
知られていないだけで世界の全ての音楽に引けを取らない
クオリティを持っていることを示しています。

曲はクリマックスの大ヒット曲
「Un Juego de Manos」の最近の演奏。
素晴らしいメロデイとリズム、
まさにティンバ・クラシックスといえる一曲です。

ところで、現在のクリマックスには、
キーボード奏者者として
日本人のミュージシャンSingoが
バンドメンバーとして参加しています*1。
日本人がキューバのバンドのメンバーになったのは、
ディアカラの河野さん以来のこと。
あまり知られていませんが、画期的な事といえるでしょう。
*1：2021年4月時点のこと。現在は脱退しています。

（福田カズノブ）