石井隆監督
余貴美子✕竹中直人の
「ヌードの夜」。

初めてのシネマート新宿で拝見。

アルコール推奨気味で
伊勢丹の隣なのに
場末感もあって面白い箱ね。

タイトルデザインが
ミルキィ・イソベでした。これは
当初見過ごしてた。

作品と同じく90年代に
私の心を惹きつけた人です。

湿度の高い画面から
行き詰まった女と男のため息が漏れる。

そして石井隆といえば、の
ネオン管の灯り。

世の中バブルでも関係ないように
浮かれることなど出来ない男と女。

この作品では、エリートから一転
代行屋として人の嫌がる仕事を
引き受けて生きている竹中直人が
村木なのですが
最後の最後に
「村木」と、その名が明かされる。

根津甚八は冒頭すぐ殺されちゃうけど
重みがあってさすがの存在感。

弟分を演じる椎名桔平より
二まわりは大きさを感じる役者。

石井隆の運命の女である名美を
演じるのは余貴美子。

美しいけれど、幸せからはほど遠く
人から羨望されるような人物像ではない。

男に強請られ
付きまとわれ、追い詰められて
殺人を犯してしまう。

小さな幸せさえも取り逃してしまう
みじめな女。

なのにこんなにも惹かれてしまうって
どういうことだろう。

石井隆の愛の説得力は凄まじい。

脇役も香ばしくて
竹中直人の同級生でオカマバーやってる
男を演じた
田口トモロヲが秀逸。

調子良く生きている人間に対する
憎しみが溢れ出る場面の
爆発力がすごかった。

トレンディなことをしてみたいと
代行屋に同行させて遊園地行ったり
水族館行ったり、イカスミパスタ食べる
余貴美子がちょっとおバカさんに見える。
これが
追い詰められすぎて
おかしくなってるのか、ヘロインの
せいなのか…というグラグラな雰囲気で
面白い。

ラストシーン
海中から引き揚げられる
車のショットとともに流れる
テーマソングは余貴美子の歌唱のようですが
胸に迫るものが。

悪い夢からほどけて
一気に寂寥感に襲われるエンディングが
本当に素晴らしい。

DJ KAZURU