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TIM★CUBAフライヤーヒストリー

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2/10 復活TIM★CUBA

17568 2/10 麻布トロピで久しぶりに ティンクーバやります。 DJ KAZURU が昔作った キレッキレのリミックス中心。 翌日が祝日なので ゆっくりお楽しみいただければ幸いです ************** La Tropi Azab..

「吉右衛門の回想」
あの「秀十郎夜話」の作者
千谷道雄 のその後の著書です。

吉右衛門の黒衣、後見を務めた
秀十郎の本が評判となって
浮かれていたその後の秀十郎エピソード。

晩年の秀十郎が名古屋の
遊郭の女とイロの関係を愉しんでたとかきくと
よかったねえ…という気持ちになるくらいには
私は彼に感情移入しています。

同じような立場のいわゆる三階さん、または
大道具さんたちの今は聞けないであろう
苦労話もわんさか出てきて面白い限り。
パワハラもすごいし、女方に普段から徹して
女言葉にしてる三階さんも絶滅したと
思われるので、彼らへの取材は新鮮。

この人たち(秀十郎は明治44年生れ)が
仕えていた役者たち(初代吉右衛門は
明治19年生れ、昭和29年没)は、江戸の風を
なんとなく分かっている
世代であったため、言葉も習慣も
歌舞伎が現代劇だった頃の空気を
伝えられているということが大きいのでしょう。

初代吉右衛門は東劇での忠臣蔵の通しの際
七段目の由良之助の武家なまりを
綱太夫に来てもらって確認してた、という
記述におお、と思ったのですが
やはりアクセントにこだわっていかないと
芝居にならないというのを徹底していたのが
わかり、さすがと思った次第。

当時から歌舞伎の義太夫(チョボ)よりも
文楽の義太夫さんのほうが本当のところが
分かっているという認識だったわけですね。

吉右衛門劇団の一員となる部屋っ子たちに

「どうか通にだけはならないでくださいよ。
通ってのを、私たちは軽蔑するんだ」

と吉右衛門自ら言ってたらしく、なかなかの
キラーワードと感じました。

ところで今も「菊五郎劇団」と
我々も言うわけですが、その劇団とは
戦時中身軽な座組で慰問公演がうてるよう
小さい編成にまとめた名残
「いわば戦争の落とし種」なんだそう。

知りませんでした。

この本の後半は
吉右衛門劇団において、幸四郎
勘三郎、歌右衛門のそれぞれの主張が
あちらを立てればこちらが立たずの微妙な
均衡の話になります。

吉右衛門夫人は

「この仲間割れは
歌右衛門という女房役を、幸四郎と
勘三郎が取りっこするところから起こるのよ」

と言ったそうで…

勘三郎は歌六の妾腹の子
六代目菊五郎の娘を嫁にし、自分は
菊五郎、吉右衛門どちらにも属していると
言うものの、吉右衛門と芝居のうえでの
齟齬も多く揉め事には事欠かなかったような
感じだったんですね。

そんな裏事情もいっぱい出てきますが
本書の帯で阿川弘之が書いているように
これは歌舞伎通の言葉というより
ひとつの文学作品。

こういうものを書き残した人が
昭和の歌舞伎界にいたということ
本当にありがたい。

著者は、歌舞伎人気の衰退について
TVが出たことによって、筋を観る人ばかりになり
芸を観る人が減ってしまった、と
書いていますが、今の歌舞伎ファンは
すっかりそんな時代ではあるけれど
芸を観たいという気持ちで歌舞伎座なりに
通っていると感じてます。

「もし歌舞伎の死滅する日が来たら
私もそれに殉じようと、ひそかに思った」

という千谷道雄の覚悟ごもっとも。

今の歌舞伎はまったく当時のものとは
違っているのでしょう。
しかし死滅してはいないし、光も
感じられていますよ、と
お伝えしたい気持ちで
最後のページを捲りました。

DJ KAZURU


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