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2/10 復活TIM★CUBA

17568 2/10 麻布トロピで久しぶりに ティンクーバやります。 DJ KAZURU が昔作った キレッキレのリミックス中心。 翌日が祝日なので ゆっくりお楽しみいただければ幸いです ************** La Tropi Azab..

2/1 イサックを語る

17586 下北沢ボデギータで 福田カズノブがイサックデルガードを語る マニア向けのイベントです キューバ料理もご注文いただけます ..

渡辺保の豊竹山城少掾

渡辺保著
「豊竹山城少掾」拝読。

昭和の名人、文楽の太夫
豊竹山城少掾。

明治十一年生まれ
昭和三十四年引退ですから
素晴らしい太夫がいたと言っても
山城少掾の舞台を見たことのある人は
あまりいないのです。

渡辺保氏は昭和24年に
日比谷の有楽座
(そんなものがあったのですね)で
初めて14歳のときにみたというから
多感な時期に約十年は山城少掾に
接することができたわけです。

これを読んでいると、いかに保先生が
山城少掾の語りに心臓鷲掴みにされたか
武智鉄二の評論に頭をガツーンとやられたかが
わかって、なるほどこうやって
文楽の魅力に取り憑かれたのかと
こちらまで熱い気持ちに。

親には売られるようにして
芸の世界に子供の頃から入り、また
親となってからは
子供を次々に亡くしたという
山城少掾の私生活も興味深いのですが
とにかく、保先生の
豊かな浄瑠璃体験の熱量に圧倒されます。

山城少掾のことはレコードでしか聞けないので
我々はどうしようもありませんが
舞台の解釈については
かなり考えさせられる部分がありました。

例えば
「堀川」の与次郎は正直一遍の人間なのだから
チャリ場にする必要ないのだ、とか
「合邦」の玉手御前については谷崎潤一郎はじめ
有識者があれは本当に継子に恋したという
解釈だが、彼女は真実母になりたかったのだ
というような説が、過去の文献も交え
説明されていて、なるほどなるほど
私は今まで見てきた演目について
霧の晴れるような思いで読みました。

しかし、これほどまでに
テキストに意味を持って語ることができる
太夫、すごいです。
丸本にかえってひとつひとつ言葉の意味を
考え直す。そういう作業が芝居の肝になる。

これだけでも大変なことなのに、床には
もうひとり三味線が情景を作っていきます。

そして舞台では人形が動く。

文楽ってなんて繊細な芸術なんでしょう。

・・・

山城少掾がおこなった改革は
全部で五点あるが、とりあえず
前の三点
言葉の意味
全体の把握
人間像のリアリティ
ということを整理すれば、これが
近世に生まれた義太夫の
近代的な改革であったことがはっきりする。

この改革によって
近世の義太夫が失ったものもある。
たとえば、あの愚劣な阿呆な与次郎の姿に
江戸時代の庶民の愚直さを見ることも可能であって
そういうものが失われたという主張は
文楽座の内部にさえ起こったのである。

しかし、この改革の意味は
近代的な改革であることにも大きな
意味がある一方、そこにもう一つの
側面を持つものであった。
それが五つの点のうちの
第四点と五点である。

第四点の原点にかえるという意味は
すなわち
「古きに還す」と
山城少掾自身の言葉にもあらわれている。

言葉の意味を追求し
全体を把握し、人間を描こうとした
山城少掾の改革は、近代的なものであったが
この近代性が同時に古典への回帰、
古典復興という目標をもっていたところに
山城少掾の歴史的な位置があると
言わなければならない。

明治維新以後、すなわち日本の社会の
近代化によって、江戸時代以来の芸術の
ジャンルもまた近代化せざるを得なかった。
その時、その各々のジャンルには
必ず近代化を推進した天才がいた。

逆にそういう天才がいなかったジャンルは
没落せざるを得なかった。

歌舞伎の六代目菊五郎、
能の梅若万三郎、実兄弟、
日本舞踊の二代目花柳壽輔、
長唄の吉住小三郎(慈恭)と
稀音家六四郎(浄観)、
箏曲の宮城道雄、
こういう人たちはジャンルそのものの近代化の
象徴であり、義太夫ではまさに
山城少掾がその人だった。

・・・

DJ KAZURU


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