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2023イヴェント休業中、各コラム更新中《TIMCUBA動画有》

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2/10 復活TIM★CUBA

17568 2/10 麻布トロピで久しぶりに ティンクーバやります。 DJ KAZURU が昔作った キレッキレのリミックス中心。 翌日が祝日なので ゆっくりお楽しみいただければ幸いです ************** La Tropi Azab..

2/1 イサックを語る

17586 下北沢ボデギータで 福田カズノブがイサックデルガードを語る マニア向けのイベントです キューバ料理もご注文いただけます ..

敗戦日記

 

2013-1104haisen

高見順 著
「敗戦日記」 拝読。

昭和20年、一月から十二月までを
綴った日記。

この戦争については
NHKの証言アーカイヴとか
けっこうな量のものを
見ていますが、文学者の目線で
敗戦直前、直後の
市民の生活を書いてあるというのが
まずは貴重。

高見氏は鎌倉在住文学者の
ひとりであり、貸本の形式で
蔵書をみなさんに読んでもらおうという
試みもしていました。

このとき39歳。
文学者としての矜持を保って
生き抜こうとしている
様子がわかります。

一月、

すでに敗戦は濃厚という
意識。

物資がなくて、生活は困窮しているもよう。

銀座もこの半年で急変した。
若い男女を見て
恋愛は変わらずに存在しているなと思う。
心強かった。

二月、

報道規制の新聞について
怒りをあらわにしている記述。

防諜関係やなんかで
発表できないのあろうことはわかるが
国民を欺かなくてもよろしい。

国民を信用しないで
いいのだろうか。
あの
焼け跡で涙一つ見せず雄々しくけなげに
立ち働いている国民を。

五月、

仲間と始めた
貸出文庫が大繁盛。

「本を持ってくる。
家において焼いてしまうより
多くの人に読んでもらったほうがいいから」

皆同じ気持ちだった。店は
皆の倶楽部の役目をもはたしている。
その意味でも
こういう家を持ったことは良かったと思った。

七月、

まとまった人数で
何かしようとすると国の目が光ることへの
不満爆発。

日本人のため
ひいては国のためになることを
何かしようとすると
犯罪人のように眼を光らせる。

結局何にもしないで
利己的な無関心的な態度でおれば
無事なわけである。

こんな「政治」をしておいて
一方で愛国心を要求する。

八月、

新聞の配達がうまくいかない模様。
ラジオも日本に何がおこっているのか
まったく伝えない。

日本人は敗戦の経験がないのだから
思えば幸福な国民である。
まるで、箱入り娘だ。
従順で、そして無智。

親のいうことは素直に聞くが
親のあやまちを知ることも出来ない。

親が死んだら、どうなるか。

恐怖政治を実感する毎日。

芸術家が
なめられるようになったについては
芸術家側の罪もあるのだ。
役人の傲慢無礼をのみみとがめることはできない。

日本の芸術は滅びてしまう。

十月、

餓死者も出ている
食糧不足の現実の中で、行く所へ行けば
戦前と変わらぬ勢いで
アワビの刺身やエビのてんぷらが
出てくる状況に納得のいかない思い。

街には米兵に
物乞いする人が目について
高見氏イライラ。

闇屋と思われる人物が
まるで
「滋賀、劣等」の発音で
「ハロー、シガレット」
と声をかけているのはともかく
インテリ風情の人物が
のこのこと
「ハヴ・ユー・シガレット?」
と、米兵に声をかけたのには高見氏もキレたらしく

「国辱みたいな真似はよせ!!」

と、叫んだという記述も。

「ハロー、滋賀劣等」の男の様な
見るからに無智な徒輩は
これはどうにも仕方ない。
しかし
ちゃんと背広を着たインテリゲンチャまでが
明るい停車場の
衆人環視の中で
そんな真似をするのは許し難い。
もう我慢がならぬ。

十一月、

こんなご時世でも
高見氏はいっぱい本を読んでいる。
そして書いている。

書きたいときは
俗務があったって書く。書ける。
書けるときは書ける。

文学への貞節。
大事な点はそこだ。

社説に掲載されていた
ローマ字採用論に高見氏憤慨。

「民主主義」の名の下に
バカがいろいろ踊り出る。

自分の活動を思うようにできなかったり
お金がないために疎開できず
命の危険をひしひしと感じたり
当然ながら
不自由さに満ちた一年。

けれど
こんな中でも
ドストエフスキーを読み
島崎藤村を読み、ほかにも
あれこれ読んで、焼けてしまったら
残らないのだから
頭に記憶しようと
一生懸命に本を読んでいたのが印象的。

そしてこれだけのものを
敗戦記録として書いた。

武士の一分ならぬ
文士の一分だ・・・と思った。

(DJ KAZURU)


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