「仲蔵狂乱」
松井今朝子 著 拝読。
現在では歌舞伎役者って
一般の役者さんよりも
地位が高いっていうか、人から
尊敬されることが多いと思う。
江戸期はもっと芝居そのものが
庶民のものだったこともあり
地位が高いとは言えなかったんだよね。
その食うや食わずの状態から
千両役者まで上り詰めた
中村仲蔵の物語です。
役も付かずに、芝居仲間からも
蔑まれ、屈辱を味わうシーンなんて
こっちが泣きそうになりましたが
松井氏は歌舞伎の原作なども
手掛けるだけあり、リアリティがすごい。
時代ものというよりは
江戸時代にある時、歌舞伎役者って
こうだったんだよ、こんなふうに
生き抜いた役者、男がいたんだよって
しみじみ迫る物語でした。
こんな素材の大河ドラマやってくれないかしら。
戦国時代を表しているのが武将なら
江戸時代をくっきり示すものは
歌舞伎役者だと思う。
(DJ KAZURU)
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