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2023イヴェント休業中、各コラム更新中《TIMCUBA動画有》

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2/10 復活TIM★CUBA

17568 2/10 麻布トロピで久しぶりに ティンクーバやります。 DJ KAZURU が昔作った キレッキレのリミックス中心。 翌日が祝日なので ゆっくりお楽しみいただければ幸いです ************** La Tropi Azab..

2/1 イサックを語る

17586 下北沢ボデギータで 福田カズノブがイサックデルガードを語る マニア向けのイベントです キューバ料理もご注文いただけます ..

甘美な牢獄

日本語の醍醐味シリーズ
宇能鴻一郎 著
「甘美な牢獄」、拝読。

純文学作家であった初期の作品が
再評価されている流れに、まんまと
私も飲み込まれました。

今回の短編集では
主に60年代の作品を収録。
少年期の女性に対する憧れと
汚らわしさとがないまぜになったような
繊細な心模様が描かれていて
実に素敵です。

満州で敗戦を迎えたときに
著者も味わったであろう辛苦から
創作された幾つかの短編も
すごかった。

近年、宝田明が
満州で、ソ連兵が隣家の奥様を
暴行されるのを目撃した
というようなことを語っていましたが
宇能鴻一郎氏もやはり少年のころ
同じような経験をしたと思われます。

そんなときでも
女性への捻れた感情をわすれずに
小説にしたのですね。

倒錯的に性に傾倒したのではなく
誰もが持つ、個人的な性的体験を
まっすぐに物語に仕立てた人のように
おもえてきました。

筒井康隆氏は
「この世の地獄を描いて
宇能氏の右に出るものはあるまい。ただ
グロテスクなだけではない。
説得力がある。時には郷愁によって
時には異国情緒によって、時には
荒々しい破壊衝動によって、読者は否応なしに
宇能氏の描くこの世の地獄に
誘い込まれてしまうのである」

と、評したそうです。

解説には、官能小説で
大衆には歓迎された宇能鴻一郎が
一方純文学作品が評価されてこなかったのは
当時幅を利かせてた江藤淳筆頭に
評論家の間で「性を扱った作品はNG」
という空気だったせいだとありますが
今こそ、多くの人に知られるべきですね。

もちろん、いい日本語です。
引っかるような、美しくない
言い回しは皆無。

冒頭の「光と風と恋」で同級生の女子に
どぎまぎする少年の描写など川端康成かと
思いました。
しかしあとに続く、いくつかの作品では
谷崎潤一郎も真っ青の性的に突っ込んだ
文章が読めます。

なんてすごい作家だろう。

朝日新聞の記事によると
昭和九年生まれで今もお元気。

この才能が満州で朽ち果てなくて
本当に良かった。

DJ KAZURU


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