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2023イヴェント休業中、各コラム更新中《TIMCUBA動画有》

18644 2023年現在timcubaのイヴェント休業中です。 コラムは随時更新していますので 各メニューを選択してくださいませ。 https://youtu.be/BELIZJu0ruM 2014年の過去動画ですが 六本木で思いきりダンスと音楽を味..

2/10 復活TIM★CUBA

17568 2/10 麻布トロピで久しぶりに ティンクーバやります。 DJ KAZURU が昔作った キレッキレのリミックス中心。 翌日が祝日なので ゆっくりお楽しみいただければ幸いです ************** La Tropi Azab..

2/1 イサックを語る

17586 下北沢ボデギータで 福田カズノブがイサックデルガードを語る マニア向けのイベントです キューバ料理もご注文いただけます ..

SISTERS IN YELLOW

「黄色い家」
川上未映子 著、拝読。

「すべて真夜中の恋人たち」以来
この作者の小説を
読んでなかったのもあって、あれ
こんなテーマで書くんだ、と最初は
新鮮でした。

冒頭がちょっと
ミステリーなのね。

社会の底辺と言われるような
ホステスの母と共同便所の
文化住宅に住んでる高校生の主人公は
早く抜け出したくて、ファミレスで
日がなバイトして一年以上かけて
72万円をタンス貯金する。

それを丸ごと母親の恋人に
盗まれたことで、彼女はそれまでのしがらみを
捨てて、自分に親切にしてくれた
ホステスの女と
一緒に住みスナックを経営する。

しかし、主人公に親切なホステスもまた
金銭感覚に疎く
未来のことを何一つ考えられず、その上。
頼ってくる行き場のない若い子が
ほかにも増えて、主人公は自分が
船の船頭になったような気持ちで
稼ぐ方法を探る。

韓国ルーツのヤクザまがいの男
詐欺や賭博で稼ぐ女が登場し
主人公はカード詐欺の受け子となって
裏の世界から抜け出せない。

トラブルがあっても警察に頼れない。
医者にもかかれない。
親が連絡してきたかと思ったら
大金の無心。

幼い時から主人公には
心休まる場所がなかったので
15歳のときに知り合った
ホステスの女とその周辺だけが
自分の支えであり、守るべきもの。

何をしてでも守りたい
その愛情は執着に変化することで
崩れだし、結局は解体に至るのだけど
10代後半の寄る辺ない少女の心が
常にぐっと迫ってきて、非常に
読み応えありでした。

ストーリーもおもしろいけれど
やはり描写の際に選択される
言葉たちに、川上未映子の独特さがあって
そこが心地良い。

この薄倖の少女が
お金でも恋人でもなく
何をしてくれたときに
心が温まるのか。

それがすっと伝わってきたとき
ああ、この小説をいま
楽しめてるな。となるのです。

・・・

暗いところを
さらに濃い影に縁どられた子どもたちが
駆けていった。

夜はこわいよ、そっちじゃないよ
何度くりかえしても子どもたちは笑うだけで
これが夜であることがわからない、夜が
なにかもわからない、誰にもそれがわからない。
それでも行く手にはぼんやりとした
光がみえてーーーそれはぎゅうぎゅうに
つめられたウインナや菓子パンや
缶詰も隙間から漏れてくる
懐かしいような淡い光で、気がつくと
黄美子さんがわたしの顔を見ていた。

・・・

DJ KAZURU


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