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2023イヴェント休業中、各コラム更新中《TIMCUBA動画有》

18644 2023年現在timcubaのイヴェント休業中です。 コラムは随時更新していますので 各メニューを選択してくださいませ。 https://youtu.be/BELIZJu0ruM 2014年の過去動画ですが 六本木で思いきりダンスと音楽を味..

2/10 復活TIM★CUBA

17568 2/10 麻布トロピで久しぶりに ティンクーバやります。 DJ KAZURU が昔作った キレッキレのリミックス中心。 翌日が祝日なので ゆっくりお楽しみいただければ幸いです ************** La Tropi Azab..

2/1 イサックを語る

17586 下北沢ボデギータで 福田カズノブがイサックデルガードを語る マニア向けのイベントです キューバ料理もご注文いただけます ..

小川哲 著
「いつか手にするはずだった黄金について」
拝読。

すべて、著者=主人公と思われる
短編のバリエーション。

前作「地図と拳」が良かったので
同じようななテイストと思ったら
全く違う作品でした。

高校時代から就職を視野に入れた
大学院時代、その頃の恋人や
友人とのエピソードを小説に
膨らませた感じなのでしょう。

震災の前日に何をしていたかを
巡る話など、
小川哲の振幅の大きさに感心しました。

察するに
「地図と拳」のあとにこれを
書いたなら、相当な気分転換というか
サーッと書けたのでは
ないかしら。

最初に収められている作品が
本ばかり読んで、本の趣味には
自信があるが、いざ就職となると
エントリーシートの段階で
哲学を引き合いに出して考え込む
主人公のモヤモヤが描写されるのですが
他人事じゃなかった…私も
完全にこっち側の人間なので。

まあ無事に小説家として
活躍できてるからいいようなもの
結構このあたりの
使い物にならない自分、というのは
本人も悩ましかったところなんでは
ないかしらね。

表題作は
高校の同級生が見栄だけで
投資ビジネスを成功させたかのように
見せて、実は嘘だった
という話ですが
これが非常に良いのです。

実際にこういう同級生がいたとして
こんな短編に昇華したのなら
彼の犯罪もそう悪いことではなかったのでは?
と、思うくらい面白い小説になってます。

他にも詐欺師の話が多くて
パクリだけで生きてる人とか
見えもしない過去や未来を
見えたかのように語る
占い師と対峙する話がありました。

なんか「騙される」ということを
テーマにひっくるめて
ひとつの話にまとまってても
良かったような気もするけど
それぞれ短編です。

あと、最近の作家にありがちな
文章のひっかかりがなくて
苛々しないのもいい。

こんなこと当たり前のはずなんだけど
文章のおかしい小説、ホント
多いのなぜでしょう。

編集者の
レベルが低いのか分かりませんが
そういったものをうっかり
買ってしまうとがっかり。

でも
新しい作家さんのものも
読みたいからなあ。

私のジレンマ。

...

上の文章を書いた翌日、つまり
この本を読み終えた翌日ってことなのですが
早川書店が経営するカフェで
食事をしてまして、同行者に
上記のごとく、本の感想を
語ってたんですよ。

そしたら隣のテーブルに
6人くらいの団体が来て
名刺交換と紹介が始まったんです。

「こちら直木賞の小川さん」

という声がしてびっくりしたんですが
小川哲と編集者と他にも作家が数人の
会食が始まろうとしてたんですね。

噂をすれば影とは
よく言ったもんです。

本当に驚きました。

小川哲氏は髭で長身の
スモーカーでした。

DJ KAZURU


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