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2023イヴェント休業中、各コラム更新中《TIMCUBA動画有》

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2/10 復活TIM★CUBA

17568 2/10 麻布トロピで久しぶりに ティンクーバやります。 DJ KAZURU が昔作った キレッキレのリミックス中心。 翌日が祝日なので ゆっくりお楽しみいただければ幸いです ************** La Tropi Azab..

2/1 イサックを語る

17586 下北沢ボデギータで 福田カズノブがイサックデルガードを語る マニア向けのイベントです キューバ料理もご注文いただけます ..

両輪として生きる

「車軸」
小佐野彈 著、拝読。

なんかすごいものを読んでしまった。

行きつけの珈琲屋のマスターが
この小説が興味深かったと
語っていたので、聞いたことのない
作家だけど読んでみました。

小佐野彈。

歌人が書いた初小説なんですね。

大学生の真奈美と
ゲイの街で生きる潤は
それぞれ
「もとは百姓」
「新興成金」
と、自分の親や家のことを思っており
そのおかげで金に不自由はないものの
自分は本物ではない、という
気持ちを抱えている。

ホストの聖也は
男にも女にも「枕」をする
店のナンバー2で
幼い頃から年に何度かは家族で
海外旅行をし
ありきたりな有名ホテルではなく
いいホテルに泊まるような
生活をしていたが、大学は途中でやめ
ホストになった。

真奈美と潤は
それぞれ聖也に
大金を払い続けながらも
女とゲイなので
肉体的に結ばれようもない。

だからといってよくある
女友達同士のように
精神的に深い友情を
紡ぐ仲良しになるわけでもない。

お互いこの人しかない
という、決定的な何かを
感じているけれど、結びつくには
聖也という車軸を媒介した
両輪として、いるしかない。

そして潤と真奈美は
聖也を含めて三人で寝ることにする。

潤がネコなので、物理的に
三人が繋がることは不可能だけれど…

こうした設定で、ホストクラブでの
描写も出てくるけれど
けして説明的なところはないのが素晴らしく
気に入りました。

最近元AV嬢だかなんだかの
延々と夜の街が描写されてる小説を
読みましたが、あれはいただけない。

真奈美も潤も
ホストクラブで支払う金が
バカバカしい額だということを
知っている。

騙されているわけじゃない。

その仕組みによって
自分が生きることで、ようやく自分の家と
断絶出来た真奈美には
いま世間が騒ぐような
「ホストに貢いで自滅する若い女性」の
悲惨さとは無縁です。

しかし、よくこんな関係を
書いたものだなあ。

私もかつてゲイの男の子と
週3位で会ってたことあるんですが
どんなに仲良くても
ノンケの男を車軸にして結ばれたいとか
思わなかったもんな。

それは私がタンホイザーをを聴いて
「ヴェーヌスは私だ」と
思う女ではなかったってことかもしれませんが。

潤に誘われオペラ
タンホイザーを観て

「タンホイザーを甘美な堕落へ
導くヴェーヌス」

に、
なりたいと真奈美が思う
シーンがあるのですが、これも
曲が聴こえてくるようないい描写です。

ちょっと作家について調べたら
台湾在住、ゲイであることを
オープンにしており
バイロイト音楽祭にも頻繁に
通うなど、ワーグナーの
オペラ愛好家だと分かりました。

んー、それでこういうものを
書くに至ったわけね。

作家本人は
自分を本物だと思うのか、それとも
本物に渇望してるのか。

きいてみたいね。

・・・・

大胆な願望をいだきつつも
堅牢な砦の外に出られない。

そういう保守性こそ
潤が最も恥じ、どこか
誇ってもいるものだった

・・・・

DJ KAZURU


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