文庫買い替えの目安として
装丁の変化というのもありますが
夏目漱石「こころ」も装丁は手ぬぐいの
「かまわぬ」とコラボしたもの、すてき。
かまわぬ、に限らず手ぬぐいって
とても好きで、神戸の専門店
「にじゆら」では
神戸の名所をあしらった
ものと、手芸用品を扱う
「ロロ」とのコラボ手ぬぐいがあったので
ついついお買い上げでした。
文庫ですが
売り方上手といいますか
うまいところを
帯に抜いてあるよなー。
「しかし君、恋は罪悪ですよ
わかっていますか」
これは衝撃的なセリフ。先生の
ミステリアスな発言は結構多くて、
「平生はみんな善人なんです、少なくとも
みんなふつうの人間なんです。それが、
いざというまぎわに、急に悪人に
変わるんだからおそろしいのです。だから
油断できないんです」
これなんかもドキッとします。
自分でも何度この本を読んだら
気が済むのだろうと思うくらい
読み込んでいますが、今回は
先生の猜疑心がひときわ強く感じた次第。
下宿先の御嬢さんも先生に
好意を持っており、奥さんもそれを承知しており
黙っていても先生の恋は成就したに違いない
(と、読み取ることがいまや
私もできるようになりました)のに
猜疑心に操られるまま、友人に対して
計略を図ったばかりに
先生は、その後の人生も結婚生活も
なんら楽しくないものになってしまったわけです。
明治の精神とか、殉死という感覚を
持たない我々にとりましては
人の愚かさというものを、まず
読み取れる作品。
あと、若い娘さんは
気のない男に気を持たせたり
好きな男にわざと冷たくしたりしないこと!
無暗にやると死者が出ますよ。これ教訓。
(DJ KZURU)
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