江國香織著 「左岸」拝読。
穏やかな文章でつづられる、しかし
波瀾に満ちた女性の半生記。
両親、兄と福岡で暮らす主人公。
しかし優秀だった兄が12歳で縊死。
17歳で男と東京に出奔。
すぐにほかの男の部屋に転がり込み
その男を伴って帰省。
このころ「貞操」的なものには一切
目をつぶって生きていこうと決意。
思い改まって大学入学を試みるも
2年生になったところで
ストリートで知り合った男と付き合い
妊娠、結婚。
幸せに嫁として過ごすも
交通事故で夫を失い、画家のモデルとしてパリへ。
パーティー三昧のパリ生活。
そこから一転
東京へ舞い戻りバー勤め。
福岡へ拠点を定め
バー開業、男とすったもんだ。
このほかにも実母がガーデニングの修行とやらで
イギリスに出奔してお骨になって帰国したり
隣人が超能力者になったりと色々あるのですが
これだけ
妙な人生をつらつらと読ませていくのが
著者ならではという感じ。
最終的に主人公は
ワインバーの経営に励むのですが
ワインの描写、素敵でしたので
一文を拝借。
〈ワインというのは驚きなのだ。
一壜ずつ
ほんとうに驚きなのだ。
あけてみなければわからない。そして、
あけたその時、その場にだけ
何かがもたらされる〉
(DJ KAZURU)
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